4日夜、トリノで行なわれた新型フィアット『500』のデビューイベントは、招待客7000人を前に約1時間半にわたって展開された大スペクタクルだったが、翌5日朝からの記者発表会も演出盛りだくさんだった。
会場は、2006年トリノ冬季五輪でアイスホッケーのメイン会場として使われた『パライソザキ』が充てられた。午前9時15分、まずはルカ・デメオ・フィアット・オートモービルズ社長が、往年のFIATロゴをあしらったオリジナルスウェット姿で登場。
デメオ氏は記者たちに各自の携帯電話で指定の番号に「500に捧げるメッセージを送ってください」と指示した。まもなく記者たちの携帯画面には「500 Thanks」のメッセージが返信された。イタリア語の「Mille grazie=1000回(どうも)ありがとう」に掛けたものである。
次にデメオ氏は、ジーンズのポケットから紙を取り出し、俳優ウッディ・アレンの「人生は反抗でなければならない」との詩を読み上げ、500の開発が単なるリバイバルではなく、既成概念との戦いであったことをアピールした。
やがて会場スクリーンには、セルジオ・マルキオンネ・フィアットグループ社長が、子供たちと未来の車について話すシーンが上映された。「歯磨きを燃料に20万馬力を発生する車」といったアイディアにも熱心に耳を傾けるマルキオンネ氏の姿に、会場のあちこちから笑いがもれた。
その後本当のマルキオンネ氏が、出演した子供たちの手をひいてステージに登場。子供たちを壇上に座らせたまま、スピーチを読み上げた。続く質疑応答には担当デザイナーのロベルト・ジョリート氏らも参加。予定時間を超えて行われ、すべてが終了したのは、記者発表開始からなんと1時間45分後の11時だった。
なお、新型500の実車がステージに登場した途端、デメオ氏はそのAピラーに軽くキスをしした。演出とはいえ、こうしたアクションが「さま」になるのは、イタリア人ならでは。悔しいところである。