トヨタのDNAは「モノづくりは人づくり」ということだが、レクサスではそれをさらに進化、深化させた人づくりが行われ、その求められるレベルも高い。
レクサスの匠になるためには、部品・材料・設備などの知識や実工程で完璧に作り込む力が必要なのはもちろんである。しかし、それだけでは不十分で、感性や基礎身体能力もなくてはならないのだ。
基礎身体能力では、指先をはじめ、肩、脚力、腹筋などの鍛錬が求められる。しかも、それが一定の基準に達しないといけないのだ。たとえば、下肢筋力の強化では、踏み台昇降を3分間呼吸を乱さずに持続できなければならない。途中で辛そうな表情をしたら失格である。
また、腰や腕の強化ということでは、15kgの荷物をしゃがんで持ち上げて高い棚に置くことができなければならない。そのため、工場内の一角に設けられたレクサス技能塾には、体を鍛えるための腹筋台をはじめ、エアロバイクなどさまざまな器具が置いてある。
そこでの身体能力測定にパスして、やっとレクサスの生産ラインに立つことができる。しかも、4カ月ごとにレクサス技能者としての再認定を受ける必要がある。そう言えば、レクサスの生産ラインにはメタボリックと思える人はいなかった。