アメリカではCAFE基準の引き上げが決まったが、現在ビッグ3の中で平均燃費がもっとも悪いのがクライスラー。そこで、クライスラーが発表したのが、いくつかの工場ラインにハイブリッド、ブルーテックディーゼルなどを加え、総額30億ドルの燃費改善のための投資を行う、というプランだ。
追加される設備には様々なものが含まれるが、注目すべきは4気筒ディーゼルエンジンと、3.0リットルV6ディーゼルエンジンの生産拡大。
クライスラー独自の「フェニックス」V6エンジンは2010年から利用可能になる予定で、すでにミシガン、ウィスコンシン、メキシコでの工場建設に取りかかっている。フェニックスはシリンダーデアクティベーション(気筒休止)技術を持ち、V6パワーが不要なときは3つのシリンダーをシャットオフして燃費を向上させる。
この他、2モードハイブリッドは2009年型クライスラー『アスペン』、ダッジ『デュランゴ』ハイブリッドモデル(2008年モデルとしてデビュー予定)に搭載される予定。
さらに、メルセデスベンツの技術を使った「ブルーテック」ディーゼルも、ジープ『グランドチェロキー』に搭載される予定となっている。
ディーゼル、ハイブリッド以外でも、クライスラーはHEMIエンジンを改良し、燃費向上とより大きなパワー、トルクの出力を可能にしたものを2009年に販売の予定。また、4.7リットルV8エンジンの新型も従来のものより燃費を5%アップさせる方針だ。
また、エンジンだけに留まらず、車体の軽量化、エアロダイナミクスの向上など、あらゆる方面から燃費の向上を図って行く。
しかしそのための投資総額が30億ドル。クライスラーの買収額が74億ドルだから企業価格の半分近くをかけての大投資となる。この投資が吉と出るか裏目に出るか、2010年まで回答は出そうにない。