日本精工は、高出力でありながら小型化と低騒音を両立したブラシレスモータおよびモータ制御技術を開発し、乗用車用電動パワーステアリング(EPS)として製品化に成功したと発表した。
自動車の燃費向上に貢献し、環境に優しいEPSは、SUVやミニバンを含めた大型乗用車にまで採用が拡大しつつある。EPS用のモータには、自動車の燃費向上や設計上の自由度に貢献するため、高出力でありながら小型かつ軽量であることが求められている。さらに最近は、静音要求が厳しい高級車やエンジンが停止するハイブリット車へのニーズがでてきたことにより、モータをより滑らかに低騒音で動かすことへの要求が強くなっている。
同社はこれらのニーズに対応し、新開発のモータ制御技術を使った小型、高効率、低騒音のブラシレスモータを採用したEPSの実用化開発に成功した。
モータサイズを従来よりも10%以上小型化し、ECU(モータ制御装置)をモータの近くに配置することが可能となった。この結果、省スペース化が実現し、ECUの搭載位置の自由度が向上する。さらに、モータ配線を短くすることが可能となり、配線損失の低減による効率向上と、モータ配線から放出される電波ノイズを低減した。従来と同サイズの場合、従来品比10%以上の出力アップを実現し、コラム式EPSの適用範囲を拡大することが可能となる。
また、磁気バランスを改善したモータと、それを高出力で回転させるための新方式の制御技術により、低騒音と高出力を両立することに成功した。それにより、EPS作動音の3dB低減を達成し、より静かな車内環境の実現に貢献する。
同社では、今回開発した技術を中型乗用車(1500ccクラス)から大型乗用車(3500ccクラス)までのEPSに適用し、2010年に130万本の販売を予定している。