被害者を山林に置き去りにした被告、殺意を否認

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昨年5月、佐賀県唐津市内で小学5年生の男児をトラックではねた上、事故の発覚を恐れてこの男児を山間部に放置したとして、殺人未遂の罪に問われた54歳の男に対する初公判が5日、佐賀地裁で開かれた。被告は放置の事実を認めたが、殺意については否認している。

問題の事故は2006年5月20日夕方に発生した。被告の男は唐津市厳木町星領付近の県道をトラックで走行中、交差道路を自転車で進行してきた小学5年生の男児をはねた。男児は頭部骨折などで意識不明の重体となったが、男はこの男児を連れ去り、現場から約3km離れた森林公園内の林道に放置した。男児は後に発見されたが、脳挫傷などで全治数カ月の重傷を負っている。

男は後に業務上過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕されたが、男児を連れ去って放置したことが「確定的殺意があった」とみなされ、殺人未遂容疑で再逮捕。検察も同罪で起訴した。

今回の公判では“公判前整理手続き”が採用されており、被告に未必の殺意が生じていたかどうかが最大の争点となっている。被告は取り調べ段階で「男児が死んでも仕方ないと思った」というような趣旨の発言を繰り返しており、検察側はこれを「未必の殺意が生じていた現れ」としているが、弁護側は「捜査機関の誘導と、作文である」と否認している。

5日に開かれた初公判で、被告の男は事故を起こし、男児を放置したことは認めた。しかし、殺意については「殺そうとしていない」として否認。弁護側も「事故自体に過失はなく、被告の罪は殺人未遂罪を構成しない。道路交通法違反と保護責任者遺棄罪が相当である」と主張した。

これに対して検察側は冒頭陳述で「男児は事故によって重傷を負っており、早期に治療しないと死亡する危険性があった」と指摘した。その上で「被告は事故を起こした責任から逃れるため、男児を人知れず死亡させようとした」と主張。殺人未遂が構成されるとしている。

《石田真一》

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