【池原照雄の単眼複眼】ゴーンショック! …短期で振れ、大きな下方修正

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【池原照雄の単眼複眼】ゴーンショック! …短期で振れ、大きな下方修正
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◆発表受けた株価は東証1部で下げ率3位に

日産自動車が2007年3月期の業績予想を大幅に下方修正し、7期ぶりの減益に陥る。昨年10月下旬の中間決算発表の席上、カルロス・ゴーン社長が「今年度は7年連続で最高益を出す年になる」と強調してからわずか3カ月余り。短期間で振れ幅の大きな修正は、これまでのゴーン経営に厚い信任を寄せた投資家の期待を裏切るものとなった。

下方修正を受けた5日の日産株終値は前週末比8.34%(126円)下落、東証1部の値下がり率では3位となった。筆者は昨年11月1日の当欄(「日産の7年連続最高益の実現性」)で、年度初めに掲げた373万台の世界販売計画の達成が絶望的であり、最高益達成は危うい状況にあると言及した。

恐らく、その時点で日産社内にも同様の見解から、業績の下方修正を行うべきという意見があったはずだ。でなければ、経営陣の見識を疑う。だが、経営トップは当初の業績見通しを、その段階で降ろすことは認めなかった。


◆旧型車の在庫がスタートダッシュの足かせに

これまでの7年間、常に高めの目標を掲げ、すべてクリアしてきたモメンタムを損なわせないために、それもひとつのリーダーシップであろう。

ただし、リスク要因の評価が甘すぎた。原材料の高騰やガソリン価格上昇に伴う車種構成の悪化などは、昨年秋の時点ですでに相当な打撃を与えていた。それを「下期は2ケタ増になる」(ゴーン社長)と見た米国販売だけで乗り切ろうとした。

米市場に業績を託すわりには、マネジメントの拙さも表面化した。日産幹部によると、11月に投入した主力車種『アルティマ』は、新型車への切り替え時に旧モデルの在庫が数万台規模残ったというのだ。

最量販車種のモデル切り替えでは、考えられないことが起きた。結局、収益の高い新型車はスタートダッシュでつまずき、第3四半期(10−12月)の米国販売は前年同期比0.8%増と、ほぼ横ばいに終わった。



◆コミットメント経営は時に「貝」になる?

期首に掲げた373万台の世界販売計画について日産は「9カ月が終わって、373万ができないのは明らか」(田川丈二財務・IR担当執行役員)と言う。ただ、新たな計画台数についてはメディア側が再三開示を求めたにも拘わらず、「予想しがたい」などの理由で公表を拒んだ。

販売台数や営業利益率は、ゴーン経営がもっとも重視する指標だ。ところが世界販売の見通しは、昨年の中間決算発表時から、なぜか消えてしまった。コミットメント経営では、場合によっては「貝」になることも必要ということか。

自動車企業の業績は販売台数が基本となるので、こうした措置は日本の車メーカー各社では例を見ない。投資家の信任回復には、業績の建て直しもさることながら、情報開示の連続性も欠かせない。
《池原照雄》

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