三菱自動車の新型『デリカD:5』(1月31日発表)は、内外装の質感が大幅に引き上げられたのが特徴。
デリカシリーズは1968年にデビューした初代から一貫して、質実剛健さとタフネスさを売りにしてきた。その伝統はデリカD:5にも受け継がれているが、その一方で歴代モデルには薄かった「ミニバンの持つフレンドリーさ」(三菱関係者)を持たせることが、強豪ひしめくミニバン市場での成功に欠かせないという判断だ。
とくに質感の向上に力が入れられたのは、ボディワーク。単に車体を強固に組み付けるだけでなく、鋼板の継ぎ目や溶接箇所を極力見せないといった工夫を盛り込んでいる。例えばフロントドア。
「通常、ドアはサッシュとパネルを別体で作って接合しますが、D:5は一枚の鋼板を一発で打ち出しています。ドアの接合部はほとんど露出しておらず、溶接点も露出部は1カ所だけです。また、窓枠部にヘミング処理(縁の折り返し)を施すことで、プレスドアとしては枠を相当細くすることができました」(ボデー設計部・須賀健夫氏)
ドアを開けたときに見える部分の露出品質の向上は、欧州メーカーのあいだで流行している手法だが、日本ではまだあまり気にされていない。ボディワークの良さでライバルに対して優位に立とうという三菱の戦略は実を結ぶか。