昨年末頃から噂されていた、ダイムラーがクライスラーを切り捨てる、という話だが、両社トップが否定しているにもかかわらず噂話はどんどん具体化している。
ヨーロッパでは先週クライスラーグループ売却の噂によりダイムラーの株価が上昇する、という現象も見られた。
ダイムラー社の株主の8割はドイツ人で、クライスラーグループが昨年の第3四半期に15億ドルもの赤字を計上したこと、また最後の四半期も赤字見込みで減産を余儀なくされていることなどから、クライスラーグループの切り捨てを声高に主張していると言われている。
クライスラーのトム・ラソーダ社長は2月終わりにも同社のリフォームプランを公式に発表する予定だが、昨年のフォード、GMと同様、工場の閉鎖、大規模なリストラが盛り込まれることが予想されている。
ラソーダ社長は昨年夏にクライスラーがアメリカでの販売シェアをホンダに抜かれ、5位に転落した際に、「原油高による一時的なもの」と弁明したが、その後も低迷が続いたため、ドイツ本社からの信頼を失っている、とも言われている。
もしダイムラーがクライスラーを切り離した場合、別のメーカーへの売却となるのか、それとも提携解消により独立企業に戻るのか、など噂の続きはどんどん先行している。しかし切り捨てで評価が上がるのはダイムラーのみで、クライスラーには巨額の赤字を抱えて一企業として存続していけるのか、といった懸念の声ばかりが広がっている。