さて、ボルボといえば独自のパッケージ、すなわち「横置き直列5気筒エンジン」でも存在感を際立たせていたが、07年モデルでの最大のトピックは、“3.2”。同じ直列エンジンでも1気筒多い6気筒としている。
「今回、ボルボとしては久しぶり、まったくの新開発エンジンになります。位置付けとしては、従来の『XC90』に搭載していた2.5リッター直5ライトプレッシャーターボに代わるユニットで、自然吸気式とし、直5ターボの29ps増しとなる238psを発生。燃費は10・15モードで0.1km/リッター増しの7.8km/リッターを達成した非常に効率のいいエンジンに仕上がっています」(ボルボ・カーズ・ジャパン マーケット企画部 岡田勝也氏)
従来同様、エンジンは横置き。おそらく5気筒以上に長い6気筒エンジンをボンネット内に収めるのは苦労があっただろうし、そもそも、なぜ横置きにこだわるのか?
開口一番「よくご質問を受けるのですが、じつは、エンジン長は5気筒よりも、わずか3mmしか長くなっていないんです」と話す。
続けて、「これは、パワステポンプやエアコンのコンプレッサーなどの補機類をエンジン後部のトランスミッション上部に設置して余計な張り出しやスペースを排除したり、ドライブシャフトの中に中間シャフトを挿入した“シフト・イン・シフト”設計を用いた小型ギヤボックスの採用などによるものですが、問題なく搭載可能でした」と新エンジン導入に際しての技術的ポイントを語ってくれた。
さらに「また、狭幅の直列エンジンを横に搭載すれば、エンジンルームの縦方向に広い空間を確保することが可能です。これをクラッシャブルゾーンとして利用することで、きわめて高い衝突安全性を確保できるのです」(岡田氏)
と、技術を突き詰めれば、安全性能への徹底したこだわりにたどり着くといったボルボの飽くなき企業ポリシーを実感させられた思いがした。