『ランエボ』も第9世代。それもこの「MR」でひとつの時代が締めくくられる。カギは歴戦の「4G63」型エンジンで、これが搭載される最後のランエボがこれ。その完成度はきわめて高く、どこから見てもケチの付けようがない。性能だけでなく耐久性と信頼性も折り紙付きだ。
スーパーAYCなど高度な電子制御を駆使した4WD機構も完成の域に達し、どう操ってもクルマが自分で最適のコーナリングを見つけてしまう。ここまで来ると「クルマ形の走行ロボット」かも。
強いて難点を指摘すれば、強力な横置きエンジンと絶大なタイヤグリップのためマウントが負けるのか、アクセル操作に対する反動がドスンと来ること。コーナリング中の微妙な操作もやりにくい。しっかり減速しての進入と、できるだけ真っ直ぐな立ち上がり、つまり全閉と全開を上手く組み合わせるのがスムーズに速く走るコツ。
次期ランエボ(X)はガラッと変わるので、この味が好きなら今が最後のチャンスだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
熊倉重春| モータージャーナリスト
東京・焼け野原の戦後第一期生。25年間クルマ雑誌に勤めて何でもやったので、フリーのジャーナリストになった今でも何でもやる。いや、クルマのことなら何でも首を突っ込みたがる。今最大の関心事はエネルギー問題。