三菱自動車『ランサーエボリューションIX MR』と『ランサーエボリューションワゴンMR』に搭載されるエンジンは、「ランエボIX」に対してスペック的な変更はないが、ターボに改良を加えたことでレスポンスの向上が図られている。
MRの開発を取りまとめた、三菱自動車商品企画本部、藤井啓史さんは「MRのエンジンはターボのタービンホイールをニッケルクロム系合金からチタンアルミ合金に変え、さらにコンプレッサーホイールの入口径を小さくしたことで、レスポンスの向上が図られています」
「また、タービンの変更に合わせて『MIVEC』(連続可変バルブタイミング)のチューニングも変更しています。これらにより、従来からオプション設定しているマグネシウム合金製コンプレッサーホイールに近いレスポンスが実現できていると思います」という。
実際にMRを走らせてみると、確かにターボのレスポンスが向上していることを体感できる。コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んだ瞬間の反応が素早くなっているので、瞬時に太いトルクを発生してくれるのだ。多少コーナリングラインを外すミスをしても、リカバリーが容易。したがって走りも安定したフィーリングをもたらしてくれるのだ。「エボIX」とで標準装備のタービン同士の比較ならば、MRのほうが断然に心地よいレスポンスを見せてくれる。
エボIXにオプションのマグネシウム合金のコンプレッサーホイールと比較しても、MRは同等まではいかないものの、トルク感としては近いレベルに達している。だが、ターボ効いて回転が立ち上がるときの軽快なフィーリングはマグネシウムが一歩上。そのため、マグネシウムコンプレッサーホイールもMRではセダンにオプション設定されている。
このエンジンを搭載するランエボは、このMRが最後。初代ランエボから搭載され、長きにわたり進化を続けてきた「4G63」型ターボエンジンは、最終進化形にふさわしい爽快なフィーリングに仕上げられている。