ここまで成功すると、やはりキープコンセプト路線から外れるのは勇気が必要だろう。あのヘッドライトを最初に見たときは違和感を感じたが、乗れば乗るほど、それらが新しい『ロードスター』の目として馴染んでくる。
しかし、何よりもうれしかったのは、キャビンが広くなったこと。シートが低くなり、ステアリングにチルト機能がついたことで、今度はギヤチェンジをするとき、膝をぶつけないですむ。それに幌が締まっているとき(クローズド)でも、頭が天井に当たらないのがうれしい。思わずニンマリ。
また、旧型で普通だった内装の質感が新型ではずいぶんと向上しているのにびっくり。スポーツドライビングの好きな人なら、よりトルキーなエンジンを搭載したことがとくに気に入るだろう。170psの2リッターユニットで、低速トルクがとにかく太くなっている。乗り慣れてくると、あと20ps欲しいけど。
タイトなコーナーでも3速で素早く出口から立ち上げられる。6速MTも気持ちいいぐらいにカチッと入るし、ステアリング操作もスポーツカーとしてじゅうぶんな重さや手ごたえを持っている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★★★
ピーター ライオン|モータージャーナリスト/コラムニスト
60年豪州生まれ。88年から東京を拠点に自動車評論活動を始める。現在、米・英・独・伊・豪・日本など10カ国の有力誌に寄稿。(日本)COTY、(米)『カー&ドライバー』誌「10ベスト賞」、ワールドCOTY賞、国際エンジン賞、各選考委員を務めている。