BMWは2006年ミッレミーリャ・ラリー開催に合わせ、『コンセプトクーペ・ミッレミーリャ』を発表した。スタイリングは40年代を中心にモータースポーツシーンで活躍した『328』だ。
ミッレミーリャ=イタリア語で「1000マイル」ラリーは、1927年から57年まで開催されていた公道ラリー。1977年からは記念イベントとして復活、開催されている。
BMWの「328ミッレミーリャ・ツーリングクーペ」は1940年に優勝し、その時の1000マイル=1600km平均速度は166.7km/hで、この記録はいまだに破られていない。さらに328ミッレミーリャ・ツーリングクーペは2004年にも優勝しており、新旧両バージョンで優勝した最初のクルマとなった。
328のデザイナーはコンピューターを使うことなく傑作を開発した。実際にモデルを作ることだけが唯一のデザイン手法だった。デジタル技術は進歩したが、モデル制作は現代でもデザイン開発の基本だ。
2006年のコンセプトクーペ・ミッレミーリャのデザイナーも古式に則りモデルを制作した。それも切削・盛りつけがしやすいため多用されている工業用粘度ではなく、石膏を使って。そして文字通り手作業によって造形された。それによってデザインチームは、古典的なレーシングカーがエモーショナルな芸術作品として評価される理由がわかったという。
プロトタイプのドライブトレインとサスペンスションは『Z4 Mクーペ』のものを流用している。ボディには炭素繊維強化樹脂(CFRP)などを用いて軽量化を図っている。