大矢アキオ『喰いすぎ注意』…エンツォもフェルッチョも酔った

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 ランブルスコひっかけてミッレミリア

しかしながら、モデナの食とクルマを語るとき、なにより忘れていけないのは、ランブルスコだろう。Lambruscoとは、同名のブドウから作る赤ワインだ。モデナを含むエミリア・ロマーニャ州の名産である。天然発酵による軽いピンク色の泡がたつ。アマービレ(甘口)とセッコ(辛口)がある。

エンツォ・フェラーリも、食事中を映した往年の写真を見ると、大抵ランブルスコ・ワインが食卓にある。

彼とランブルスコというのは、一種の組み合わせだったようだ。そういえば、数年前イタリアの民放テレビで放映した連続ドラマ『エンツォ・フェラーリ物語』でも、劇中のエンツォはジル・ビルヌーブに向かって、「コラ若者、ちゃんと食べなきゃダメだ!」と言いながらトルテッリーニ(詰め物パスタ)を勧め、ランブルスコを注ぐ。

食卓で最高のコンビを奏でるのは、脂身がたっぷり入った豚肉で作る腸詰め『コテキーノ』である。イタリアでは年末の風物詩で、金運を呼ぶといわれるレンズ豆と一緒に食べる。

実はランブルスコ、イタリア産ワインの格付けとしては、いちばん上(DOCG)からひとつ下のDOCだ。だから、値段も安く毎日楽しめる。イタリアではブランドや格付けではなく、自分の舌で判断できて、食べ物との組み合わせを知る人間がトクをするのだ。

ちなみに、フェラーリをはじめ、モデナのライバルメーカーたちを威嚇すべく、ボローニャ側県境に工場を建てたフェルッチョ・ランボルギーニも、ランブルスコをこよなく愛していた。

彼は若き日、一度だけミッレミリアに出場するのだが、朝方ランブルスコをグイッと飲み干してからレースに臨んだ。そして1963年に『350GTV』のベアシャシーを公開した日も、ランブルスコの大盤振る舞いをしたという。

ランブルスコの気泡は、洗練と粗野の微妙な境界を行き来する。それは流麗なボディを抱きながら、中を見るとフレームが妙に荒っぽく組んであるモデナ製GTのイメージと、妙にオーバーラップする。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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