【D視点】トヨタ エスティマ…伝統の最先端は離陸する?

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  日本発のビークル形態

それと、もうひとつ付け加えたいのは、トヨタはエスティマを「ミニバン」だと説明しているが、私は初代登場のときから、エスティマこそ日本独自の“ワンボックス豪華サルーン”と表明すべきと思っている。

アメリカ生まれの「ミニバン」には無いレイアウトの先進性と、ユーティリティの面で優れたエンタテイメント性を持っており、これはトヨタ発のれっきとした新ジャンルのサルーンである。今回の進化型エスティマを見て、私はますますその想いを強くしたのである。

細部に移ろう。旧型からのデザインテーマであった先進性をさらに進化させ、シャープさを増したヘッドランプと、その周辺のデザインがなんと言っても強烈だ。最近の「とんがり顔」競争でホンダ勢に一歩差をつけた。そのヘッドランプから始まる側面の明確な折れ線は、絶妙な上下の分割位置と傾斜でボディにダイナミズムを与えている。

そのラインのすぐ上にある緩やかなハイライト面の演出も秀逸で、ほどよいふくよかさのエンジンフード面が徐々に変化し連続した面となっている。こうした規則性にのっとった造形は知性を感じさせ、同時にボディを伸びやかに見せるためのデザイン技法でもあるのだ。またドア下部の凹面も官能的で美しい。シンプルな造形の中に力強い安定感を創り出している。

Aピラーは初代同様のブラックアウトに戻され、さらに新型では完全なラップアラウンドウィンドウを実現した。特にリアクォーターガラス後部の三次元成型の曲率と精度の良さが、リアゲートガラスとの完璧な連続面を可能にし、その魅力を向上させている点も見逃せない。

またルーフサイドも、刀のようなカーブでリアに向かってなだらかに下がって行くラインがダイナミックで、さらにそのラインをリアピラーで大胆にキックアップさせ、ルーフ後端に回しているのが印象的だ。このあたりのライン取りと要素を減らした面造形が、先にも述べたようなニッポン的な個性をかもし出しているのではないだろうか。

インテリアは上品な素材と質感の対比によるシンプルなデザインに進化した。都会的な色調のウッド風パネルの取り回しも、けばけばしさを押さえたモダンな感じに仕上がっている。欲を言えばインストルメントパネルのメーターも、優しいミルクセーキ色を背景にした黒文字といったような、大人っぽさと癒しを兼ね備えたモノトーンにすると、よりシックになって良かったと思う。メーターの視認性は、適切な輝度によるコントラストの方が重要なのである。

《荒川健》

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