ITS世界会議会場となったサンフランシスコ・モスコーニセンターの企業展示ホールには、自動車メーカー、機器メーカー、ITS推進組織、ITSサービスプロバイダー、そしてサンフランシスコらしくシリコンバレーの雰囲気満点のITS関連ベンチャーなどが大小140ものブースを構えている。
その中で目立つのは日本の自動車メーカーおよび機器メーカーのブースである。自動車メーカーの展示はヴォルクスワーゲン&アウディ、トヨタ、日産、ホンダの4社のみ、地元ビッグスリーはGMとダイムラークライスラーが別会場のIMS(Innovative Mobility Showcase)でのデモンストレーションのみの参加である。
ホンダブースでは、ASV3実験車両2台(2輪、4輪)の持ち込みのほか、アキュラ『RL』(日本ではホンダ『レジェンド』)の実車展示その他を行っている。
なかでも注目は、北米でしか体験できない「アキュラリンク」のサービスデモ。センターコンソール〜ナビゲーション画面の展示では、実際にXM衛星ラジオ(GM、ホンダなどが出資する有料衛星ラジオサービス)が接続されており、サンフランシスコの町に渋滞情報が表示されている。
日本ではVICS機能としておなじみだが、北米では昨年秋にアキュラRLに初搭載され、現在キャデラック純正ナビおよびパイオニア、アルパイン市販ナビなどで対応機がでてきている。
VICSとの大きな違いは、FMやビーコンからデータを得るVICSに対してアキュラリンクはXM衛星ラジオのデータ通信バンドを利用している点だ。
今後は、全米の天気情報やパーキング情報の追加によりリアルタイム情報のナビへの追加が充実するという。
さらにアキュラリンクは、XM衛星ラジオの独占帯域を利用した個々のユーザーへのサポートサービスを組み込んでいるのが特徴となる。ホンダからのキャンペーン情報やリコール情報などのメッセージが個別に届いたり、車種にあった機能説明が更新される。
新車購入後、1年は無料だがそれ以降は、XM衛星ラジオ音楽サービスは12.95ドル/月に対して、音楽サービス+交通情報は3.99ドルプラスの16.94ドル。もしくは交通情報のみ希望する場合は9.99ドルの契約が必要になる。もちろん、なにも契約しなくてもカーナビ機能はふつうに利用できる。
ホンダの飯星明主任研究員によると「ホンダでは、2004年の北米でのカーナビ搭載車は16万台を超え、日本市場でのメーカーオプション販売台数を追い抜いた。1000ドル以下のポータブルタイプのカーナビを体験した人が、新車購入時には純正カーナビを選んでくれるようになった結果」ナビ市場が成長し始めている。
このタイミングでのナビ画面渋滞情報の提供は大きな武器に成りうることは、日本市場が証明している。アキュラRL発売後、無償期間の1年が過ぎる今秋以降、交通情報に対する有料契約率を大いに注目したい。