スバルの新型「ターボ・パラレルハイブリッド」(TPH、18日発表)のキーデバイスのひとつは、ミラーサイクル化されたターボ付き水平対向エンジンだ。
ミラーサイクルとは、圧縮行程より膨張行程を大きく取り、エンジンの内部損失の大きなファクターであるポンピングロスを低減させる技術。スバルの開発陣によれば、ミラーサイクル化、低フリクション化を合わせ、エンジン単体で10%ほど高効率化されているという。
ベースは現行『レガシィ』に搭載されているEJ20型。このエンジンは標準で吸排気両方のカムに連続可変バルブタイミング機構AVCSを備えているが、TPA用エンジンはその制御を利用してバルブ遅閉じミラーサイクル化を実現させる。
膨張行程は11以上とNAエンジン並みの高さ。圧縮行程はAVCSの制御により、最低は8以下から上限はターボのノーマルエンジンと同等までの可変。「高出力時はオットーサイクルに近いスペックとなります」(スバル関係者)。
ミラーサイクルは実質的な排気量が通常のエンジンより小さくなるため、パワーやトルクも低くなってしまう。スバルは、得意としているターボを組み合わせることで、この問題に対処している。タービンはミラーサイクル化による出力減少を補うため、ノーマルより大風量のものが組み合わされている。
この新エンジンの弱点は、過給圧が高まらない低回転域で通常のエンジンにくらべてトルクが薄いこと。それを補完することが、最大トルク15Nmを発生するTPHのモーターの役割なのである。ミラーサイクルエンジンとTPHの組み合わせにより、現行『レガシィ』GTターボのスペックを維持しながら、10・15モード燃費で約2割の燃費改善効果を得ることができるという。