南大津通商店街振興組合と総務省東海総合通信局およびインターネットITS協議会は共同で、7月より名古屋市内、南大津通商店街でITS実用化のための社会実験「インターネットITS通り」を実施する。15日、発表した。
インターネットITS協議会による「インターネットITS通り」の実証実験は、街全体をホットエリア化して街中にいればどこでもブロードバンド通信が可能になるというもので、昨年のITS世界会議においてテクニカル・ツアーで披露していたものの発展版といえる。
実証実験の舞台となる南大津通商店街は、三越やパルコ、松阪屋、ラシックなどのデパートのほか、アップルストアなどのITショップ、高級ブティックも建ち並ぶ一大商業ストリート。
このうち「栄」交差点から「矢場町」交差点までの南北約700mに無線LANアクセスポイントが12基設置され、インターネットITS協議会事務所に設置されているサーバを介して、ユーザーは商店街が提供するセール等の情報を任意に取得できる。利用端末はIP携帯電話やPDF、パソコン、携帯ゲーム機(PSPなど)、カーナビなどを想定しているという。
実験内容としては、自転車タクシー(ベロタクシー)内での情報閲覧や広告のプッシュ配信、PDAやIP携帯電話による無料通話、メッセージボード(街頭テレビ)による災害緊急情報や交通機関情報の提供など多岐にわたる。
インターネットITS協議会事務局長の時津直樹氏は「無線LANを使うことでユーザーの通信費の負担を減らし、コンテンツサービスでビジネスができるような仕組みをつくりたい」と述べ、「名古屋から新しいビジネスモデルを発信し、2−3年後には全国の都市で南大津通りのようなITS商店街が生まれることを期待したい」と抱負を語った。
南大津通商店街振興組合理事長、杉野末義氏も「ITSを活用することで、地域の活性化を図ることができれば」と期待を寄せた。
「ITSスマートモール」および「インターネットITS通り」とも、万博の「ITS EXPO」(主催:ITSジャパン)に合わせて、7月の中旬より運用が開始され、有料で視察・体験ツアーも組まれる。
現時点で開発途中のシステムもまだあるため、実験に提供できるサービスは一部に限られるが、「年末商戦期を迎える頃までにはすべてのコンテンツを利用できるようにしたい」(時津氏)とのことだ。