ブラックベースの内装はソリッドで、ヨーロッパ車的なテイストすらも感じられるほど。というと、複雑な感じがするが、そのようなことはなく、シンプルかつわかりやすい。
たとえば、シート。最近のクルマでは座面の厚みを薄くしつつ、人間工学に基づいた形状を追求……、などというクルマが多いが、ノートの場合、クッションは極厚。「まるでソファーのようですね」と問いかければ、我がを得たりなのか、じつに自慢げに「細かいことをやるよりも、厚いほうがふんわりするのは当たり前。単純に気持ちいいでしょ。コストはかかりますけどね」と、相変わらずのノリのよさで説明してくれる。こちらとしても素直に納得してしまう。
さらにラゲッジもゴチャゴチャせずに、「シンプルでわかりやすく、まず開けたときに印象にもこだわり、あれこれ付いているのは避けました」とここでも説明は明解。実際に見ても、座面裏に付いたオレンジのダイヤルがかわいいアクセントになっていて、シンプルでかわいい。
加藤さんは、やり取りをすればするほど、すべてについて聞けばチャンと答えてくれる。理屈がチャンとしていることにただ関心するばかりだ。とにかく「とりあえず広くしました……」などと曖昧なところがない。
それは細かい収納にもいえて、まずはどういった装備が必要なのかをスタッフで整理して、そのうえで実際に設けていったという。ここでもまたキッパリと「意味のない、ただスペースが空いたので小物入れでもということはないです」。こういう手法は、じつはあまりないわけで、ミニバン全盛の今、とにかく収納は数が多ければエライという風潮になりがちななか、じつに新鮮に見える。(つづく)