【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」

自動車 テクノロジー カーナビ/カーオーディオ新製品
【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
  • 【神尾寿のアンプラグドWeek】モバイルSuica…「ケータイで電車」と「3:7」
●ケータイで改札口をタッチアンドゴー

22日、JR東日本、NTTドコモ、ソニーの3社が「モバイルSuica」サービス開始に向けた合同記者会見を行った。

モバイルSuicaとは、JR東日本が提供中の「Suica」(スイカ)システムを、ドコモのおサイフケータイなど非接触IC「モバイルFeliCa IC」搭載の携帯電話で利用するサービス。これが実現すると、改札口でケータイを“かざすだけ”で電車に乗れるようになる。

モバイルSuicaの開始時期は2006年1月からの予定。対応機種は未定だが、「おサイフケータイ対応の『900iC』、『901iC』は対応したいと考えている。今後、発売されるおサイフケータイはすべて対応する」(NTTドコモ 中村維夫社長)という。

当初から「Suicaイオ/電子マネー」、「Suica定期券」、「Suicaグリーン券」の機能を持つほか、2007年度には新幹線デジタルチケットサービスに対応。新幹線の座席予約から改札口通過まで、FeliCa携帯電話を使うことでシームレスかつチケットレスで利用できるようになる。

また、携帯電話ならではの機能としては、Suicaイオ/電子マネーの残額確認、iモードなどネットサービスを使ったチャージや定期券の購入、チケットの予約購入などができる。

将来的にはSuica電子マネーを使ったネットショッピングや、イオ/電子マネー残高が一定額を下回ると自動的にチャージされる「オートチャージ」機能の搭載などが予定されている。

●駅のシステムが携帯で変わる

記者会見の席上、東日本旅客鉄道(JR東日本)の大塚陸殻社長は「乗車券や定期券の購入など、駅の(窓口)機能のほとんどが携帯電話で提供できるようになる。これは駅のシステムを変えるという点で非常に意義深いこと」と、モバイルSuicaの重要性を語った。

JR東日本では最近、駅の中にコンビニエンスストアや店舗を増設し、駅施設の収益性を高める姿勢を取っている。モバイルSuicaが普及すれば携帯電話が窓口機能の大半を持つため、券売機や精算機、各種窓口の設置スペースの削減が可能になり、そこを「店舗スペース」に割り当てることができる。

人の多く行き交う駅を“ビジネス化”する点で、モバイルSuicaによるケータイ対応は大きなメリットがあるのだ。

そのためJR東日本では、ドコモだけでなく、auやボーダフォンにもモバイルSuicaを広げる方針である。おサイフケータイでこの分野を切り開いたドコモも、「(他キャリアの)携帯電話にモバイルSuicaのようなものが入ってくるのはウェルカムだ」(ドコモ中村社長)と、業界最大手らしい度量の広さを見せている。

モバイルSuicaは東京を中心とするJR東日本エリア内向けのサービスであり、現時点では「東日本以外」への展開が見えていない。

Suicaサービス自体は、電車の料金支払いではJR関西の「ICOCA」と相互乗り入れをしており、「モバイルSuicaも他のJR各社から同じことをやりたいといわれたら、もちろん協力する。東日本の中だけでクローズドさせるつもりはない」(JR東日本 大塚社長)と、全国展開に意欲を見せる。

●都市部は鉄道に、地方は自動車交通に対応

しかし、地方で考えると、東京のように鉄道+電子マネーが、必ずしもキラーサービスになるとは限らない。

昨年のITS世界会議で森川高行名古屋大学教授が語ったとおり、地方では「公共交通機関と自動車移動の割合は3:7程度」であるからだ。地方の生活と経済はクルマを中心にまわっており、道路とロードサイドサービスの重要性が、鉄道のそれを上回る。

都市部と同じく、「交通+電子マネー」でおサイフケータイなどFeliCa携帯のニーズを喚起するならば、自動車交通分野への進出が鍵になる。

具体的には、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、ファミリーレストラン、郊外型ショッピングモールなど、クルマで乗り付ける「ロードサイドビジネス」ゾーンをすべて同一の電子マネーでカバーする必要があるだろう。

中でも重要なのは、ガソリンスタンドの対応だ。Suicaでは鉄道利用料金の「イオ」バリューが、電子マネーとして使えることが普及のポイントになっているが、クルマにおける「利用料」はガソリンにあたるからだ。

おサイフケータイの決済機能は簡単かつスピーディであり、搭載されるFeliCaは「これまで世界で7000万以上の利用があるが、一度として偽造されたことがない」(ソニー 安藤国威社長)というセキュリティ面での強みもある。

利便性と安全性、そして携帯電話の端末普及の早さが手伝い、将来、クレジットカードに代わるガソリンスタンドでの主要な決済手段になる可能性がある。

おサイフケータイの全国展開を考えると、自動車交通分野への進出は重要な鍵であり、不可避のポイントともいえる。また、海外の多くの国が「公共交通と自動車移動が3:7」である事を鑑みると、自動車交通分野での成功が、海外におサイフケータイのビジネスを輸出する際の重要な足がかりになる可能性も高い。

モバイルSuicaによって鉄道から始まる「交通+電子マネー」の流れが、クルマとロードサイドに波及することに期待する。
《神尾寿》

編集部おすすめのニュース

特集