新型『ヴィッツ』(1日発表発売)には2タイプのファクトリーオプションナビが設定されている。
主力となるのはセンターコンソールに一体化されたモジュール型のCDナビだ。価格も10万円程度で、ファクトリーオプションとしては間違いなく激安の部類に入る。
ハードディスク(HDD)ナビやDVDナビが全盛の時代になぜCDナビを採用したのか。
この点についてヴィッツの開発責任者、第2トヨタセンターの柴原巧典チーフエンジニアは「先代のヴィッツでは純正ナビの装着率は10%程度に留まっていた。安価なナビを提供することで、コンパクトカーでのナビ装着率を向上するという目的はありました。DVDではまだ10万円を切れない。CDナビでなくてはダメだったんです」と説明する。
実はこのナビ、昨年デビューした『パッソ』でも採用されている。ただし、パッソで採用されたのは2DIN型の筐体。価格も10万円を切っており、道具としてナビを使う分には問題が無かったが、コストに厳しい女性の感覚で「10万円“も”するナビ」という目で見た場合、決して満足できるものではなかった。
ところがヴィッツのCDナビはモジュール型となり、センターコンソールに一体化されている。いわばドレスアップがなされた状態だ。見栄えもよいのはもちろん、高級感すら感じる。これなら女性ユーザーでも満足がいく仕上がりと言えるだろう。
柴原チーフエンジニアも「女性に支持されることを狙い、今回はモジュール型としました。センターコンソールのデザインと一体化するパネルのデザインなど、かなり初期の段階から検討しています」と語っている。
本体価格が安く、しかもコンソール一体化となって見栄えが向上したことで、これまでは「高いからイヤ」としてナビを選択しなかったり、「難しいのはキライ」として食わず嫌でナビを敬遠してきた女性を、ユーザーに獲得できる可能性は高い。
一度でもナビの使い勝手を味わい、その便利さに気づいたなら、将来的にヴィッツの代替となるクルマを購入するときにも、ナビをオプションとして積極的に選択してくれるだろう。
トヨタがそこまで考えた上で、あえてコストの掛かるセンターコンソール一体化を採用したというのなら脱帽するしかない。