【大改正道交法】点数より違反金、防止より徴収…駐車違反

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【大改正道交法】点数より違反金、防止より徴収…駐車違反
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今回の法改正で駐車違反取り締りについて、警察庁は花よりダンゴを選んだと言える。それが、車両の実質上の所有者に課せられた違反金(行政制裁金)の創設だ。

違反者が警察に出頭しない場合、改正道交法では違反日から30日を超えた時点で、実質上の車両の所有者(=車検証上の使用者)の住所地に「違反金納付弁明通知書」が送付される。

通知書を届けられた人が、すでに車両を売却していたり、盗難車である場合などの弁明を聞く機会を設けているわけだ。この弁明を経て、違反金納付が適当であると公安委員会が判断すると、反則金と同額の違反金納付命令が下る。この命令に従わないことを繰り返すと、違反とは無関係でも次回の車検が受けられなくなり、その車両が使用できなくなる。

ただ、違反点数を気にする本当の違反者からすれば、出頭して反則金を支払い免許点数を減らすより、違反金として処理されるほうを望むのではないか、という疑問が残る。

それに対する警察庁の言い分はこうだ。「運転者の出頭率は、86.4%(1998年)から76.6%(2002年)に下がっている。この4分の1の逃げ得が、違反金制度によって反則金と同額を納付することになる」(警察庁・人見局長)

さらに、新しい規定で違法駐車常習者に対する実効性を持たせるという。車両の所有者が6カ月以内に違反金納付命令を繰り返した場合、3カ月を超えない範囲で使用禁止にすることができるのだ。

つまり駐車違反を繰り返した場合、今までの道交法では違反者が運転できなくなる制度だけだったが、改正道交法でそれとは別に、違反した車両が使用できなくなるという制限が新たに加わった形となる。したがって違反者が所有者ではなかった場合、所有者が違反者に「違反をしてるのだから出頭しろ」と迫るだろう、という理屈だ。

それでも所有者が違反金を支払えば、事実上、駐車違反が終わったことになるのは変わりない。改正道交法は駐車違反を防止することより、出頭しない違反者に対して「とりあえず違反金ぐらいは支払え。逃げ得は許さない」という徴収姿勢を強調したものになった。

《中島みなみ》

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