排出ガス抑制装置から放射線…健康に影響なし

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熊本市交通局が使用している路線バス車両に放射性物質を含む鉱石(モナザイト)を使用したとみられる排出ガス抑制装置が装着されていた問題で、熊本市は7日、熊本県保健環境科学研究所に依頼して、装置から発する放射線量を測定した。

結果として放射線の発生は確認されたものの、健康に害を与える量ではないことが確認された。

熊本市によると、問題となった排出ガスの抑制装置は、すでに倒産した宮崎県内の会社が製造していた製品。『セラマック21』や『セラエース』という名称で、1997年ごろから1台あたり42万円で販売されていた。

市交通局では1997年10月にトライアルとして1台を導入して路線バスに装着。実際に黒煙が大幅に減少したこともあり、1998年8月に1基あたり42万円の商品を8台分購入。2000年2月にはさらに10台分を追加した。

ところがこの装置の中でろ過フィルターとして使用している物質に「モナザイトが使われているのではないか」という指摘が寄せられ、実際に放射線を確認した。

市ではこの装置を急きょ取り外し、「精密な測定を行う必要がある」として、県の保健環境科学研究所に測定を依頼。これを受けて同研究所がサーベイメーターと呼ばれる携帯用の放射線量測定器で計測を行った。

この結果、自然界に存在する放射線を含んだ暫定値ではあるものの、装置本体からは1時間あたり最大4.9マイクロシーベルトの放射線量当量を検出した。

これは年間被爆量に換算すると43ミリシーベルトとなり、原子炉等規制法で定められた作業員の被爆許容量(年間50ミリシーベルト以下、5年間累計で100ミリシーベルト以下)を下回る。ただし、一般人の年間許容量である1ミリシーベルトは確実にオーバーすることになるが、常に接しているわけではなく、健康に害を与える心配はない。

装置が設置されたエンジンルームに一番近い座席では0.98マイクロシーベルトを検出しているが、これも人体に影響を与えるような数値ではないという。

今回の結果は暫定値で、自然界にある放射線を含んでいることもあり、正確な値よりもわずかに高い。県では近日中に正式な数値を公表したいとしている。

《石田真一》

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