熊本市は6日、熊本市交通局が運行する路線バスや、市の清掃課が使用しているゴミ収集車2台に取り付けた排出ガス抑制装置から、自然界の200倍にあたる放射線を検出したことを明らかにした。
医療用エックス線と比較しても小さい被爆量で、健康を害する心配は無いが、市ではこの装置を取り外し、専門機関に依頼して放射線量の再測定を行う方針だ。
熊本市によると、問題となった排出ガスの抑制装置は、すでに倒産した宮崎県内の会社が製造していたもので、『セラマック21』や『セラエース』という名称で1997年ごろから販売されていた。
DPFのようにマフラー近くに取りつけるのではなく、燃料タンクと燃料フィルターの間に取り付けるというもので、メーカーは「軽油を装置に通してろ過することで成分を細分化して燃料効率をアップし、それによって黒煙を削減する」と説明。
市交通局では1997年10月にトライアルとして1台を導入して路線バスに装着。実際に黒煙が大幅に減少したこともあり、1998年8月に1基あたり42万円の商品を8台分購入。2000年2月にはさらに10台分を追加した。
ところがこの装置の中でろ過フィルターとして使用している物質に「モナザイトが使われているのではないか」という指摘が寄せられた。
モナザイトはリン酸塩鉱物で、希土類元素のネオジムやセリウム、ランタンを主成分として構成されている。トリウムやウランも含有していることから放射性物質とされており、原子炉等規制法で規制されている。
熊本市が測定を行ったところ、装置から1時間あたり最大4マイクロシーベルトの放射線を検出した。これは医療用エックス線よりは低いものの、自然界の200倍にあたる放射線量であり、市では念のため、装着していた18台から装置を取り外した。
市では「専門機関の判断を待って最終的な対応を決めたい」としているが、メーカーが2001年に倒産していることもあり、最終的な責任は市側が負う必要もあることから、装置が再装着される見込みは薄いとみられる。