大型トラックの最高速度を90km/hに抑えるスピードリミッターは、昨年9月から新車に装着義務付けとなった。国土交通省は一応、後付けリミッターを含めて技術指針を出し、不正改造が行われないよう配慮した。
しかし、今回のリコールで、場合によっては“容易にリミッターが解除できる”ことが露呈してしまった。
排ガス規制の強化で、トラックのエンジン制御にも電子化の波が押し寄せている現在、メーカーがその気になれば、ダイアグノーシス(自己診断)モード起動時などのように、特定のスイッチを特定の手順に従って操作すれば、リミッターが解除できる設計にもできる。こうなると、国交省にも確認の手だてはない。
関係者は、「使用過程車まですべてリミッターの装着が完了(06年に完了)すれば、速度違反で捕まえたトラックを、同時に不正改造でも処罰できるはず」と話すのだが、それには警察が本気で速度違反を取り締まる必要がある。
あらためてメーカー、運送業者、荷主の遵法意識が問われそうだ。