クライスラーがデトロイトで発表したミッドエンジン、クワッドターボ、V12の『ME4-12』(フォートゥエルブ)は、クライスラーの「隠し玉」としてデトロイトオートショーの中でも最も注目を集めたクルマとなった。
しかし実際の生産をほのめかしたクライスラー幹部の意気込みにもかかわらず、業界では早くも「実現は不可能、コンセプトですらないデザイナーズドリームに過ぎない」という声が上がっている。
というのも、クライスラーはアメリカ国内市場ではトヨタに販売台数で抜き去られようとしているメーカー。今年度も赤字は確定的。かなりの力を入れて開発した『クロスファイア』なども販売は不調で、工場の閉鎖やレイオフを余儀なくされている。
そんな中、社内でも極秘プロジェクトとして進められたME4-12だが、コストがかかる上に売り上げに貢献する商品でもない。またメルセデスベンツや『SLRマクラーレン』をすでに発表している。
SLRや、ポルシェ、フォードが次々と発表したスーパーカーを相手に、ME4-12が実際に販売を競いあうことはなさそうだ、という見方が強くなっている。