【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)

自動車 社会 社会
【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
  • 【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)

■違反金制度の真の狙い

そして、駐車違反取締りへの民間委託の導入よりもエグイのが「行政制裁金制度」の導入である。
 
試案では「公安委員会は、車両の使用者に対して、行政的な制裁として、金銭(違反金)の納付を命じることができることとします。」としており、「行政制裁金」を「違反金」とネーミングしている。

この違反金とは、「車両の使用者」に対して課せらけるものとているわけだが、このことが、われわれドライバーにとってどういった意味あいを持ってくるのだろう。それを理解するためには、まずは駐車違反の取締りの流れをおさらいしておく必要がある。

違反車両の存在を確認すると、マーキングチョークでタイヤと路面に一直線のスラッシュを入れ、同時に時刻も書き込む。一定時間後、再び現場を巡回して同じ車両が動いていないことが確認されると、サイドミラーの取付部などに黄色いワッカ(駐車違反標章)を付けて、運転者に警察への出頭を促す。警察では出頭してきた者を運転者と見なして反則キップ(青キップ)を切るという流れだ。

この一連の流れからもわかるとおり、警官が現認しているのはあくまでも違反車両であって、違反をした運転者を特定しているわけではない。

したがって、未出頭の追跡捜査などで、クルマの持ち主(車検証上の使用者)に対して「当時、違反した者を出頭させよ」と責任を追求しようとしても、「誰が運転(違反)したのかわからない」と、強硬につっぱねたなら、それ以上の責任は追求しずらいという側面があったのだ。

対して今回の改正試案では、車検書上の「使用者」の責任を明確にして、最終的な「違反金」=「行政制裁金」の支払義務を運転者ではなく、クルマの持ち主に責任転嫁してしまおうとしているのだ。

「違反金」の対象となるのは、前述した未出頭事案はもちろんのこと、仮にワッカをつけられて出頭したとしても、「金欠だ!」「期限までに払い忘れた!」のほか「取締りに納得がいかない」「違反に覚えがない!」などの理由で反則金を支払わなかった場合も含まれる。

なお、使用者に対して違反金の納付が命じられた後に、「運転者が反則金を納付」「公訴を提起される等」、運転者の責任を追及することができた場合には、使用者に対する違反金納付命令を取り消し、あるいは、既に納付済みの違反金については返還するとしている。

ここで問題となってくるのは、試案がいう「公訴を提起される等」の定義だろう。

「公訴を提起」とは、道路交通法違反事件の刑事被告人として、法廷にたたさることを意味する。

反則金制度では、軽微な違反に対して科せられる反則金の納付を、運転者が拒否することで、正式な刑事手続きの流れに乗せられ、検察や裁判所で取り締まりの不当性を抗弁することができ、不起訴処分や無罪という道が残されているからだ。

対して新道交法が目指す世界では、反則金を納付しないと、まずは、使用者に違反金納付命令が下る。そして、後日、運転者が自主的に反則金を納付するか、公訴を提起されない限り、原則的に命令が覆ることがない。

そして、今回の試案に目を通した限りでは、運転者の刑事手続きが「不起訴処分」になった場合の「違反金」の取り扱いが明記されていない。

現在、「取締りに不服がある」「違反に覚えがない」などの理由で反則金の納付を拒否し、正式な刑事手続きを希望した者の行き先は、大多数の場合、法廷ではなく検察段階での「不起訴処分」である。

不起訴処分とは、警察から送検されてきた事案に対して「違反は事実かも知れないが、当時の状況や運転者の経歴(違反歴)などから判断して、刑事責任の追求をする必要はない」「証拠が不十分で違反事実を認めることが出来ない」 「違反事実はない」などの理由で、裁判にはしないと判断する処分のこと。

この不起訴処分が「公訴を提起される等」の範囲に入っているのかが全くわからないのだ。ともすると「不起訴処分になったとしても違反金はきっちりと課しますよ」という狙いがある可能性が高く、警察庁の出方をしっかりとチェックしていかなくてはならない。 

《小谷洋之》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

教えて!はじめてEV

特集