【特集:道路公団民営化】誰が勝ったのか、あなたはいくら払うのか

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【特集:道路公団民営化】誰が勝ったのか、あなたはいくら払うのか
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■新たな道路の建設は?

無駄な道路は作らない---これが民営化当時の基本理念であったとしたら、今回の政府・与党合意案は明らかに「不合格」だ。道路族が求めていた現行の整備計画(9342km中、未開通の約2000km)は、どう転んでもほぼ完成できる仕組みになっている。その仕組みとは、片側4車線を2車線にするなどの「コストダウン」と、税金で建設する「新直轄方式」の2つだ。

約2000kmを建設するのに必要な資金は約20兆円だったが、国交省は車線数を削減したり、盛り土を低くする、インターチェンジを簡素化するなどのコストダウン分を6.5兆円と見積もった。さらに別の政府・与党合意で、新直轄方式での路線建設に当面、3兆円を使うことが決まっている。さらに民営化までの約3年間、公団には毎年1兆円の事業費がわたる。

これらを差し引いた結果、新会社が負担する建設費は最大でも7.5兆円と、公団方式時代の半分以下になった。もちろん、国交省・道路族は建設続行が前提だからこそ、苦心してこの数字を作り上げたのだ。

一部報道では「新会社に(建設の)拒否権を与えて無駄な道路を作らせない」とあったが、実際は、(1)まず、国土交通大臣は地域会社に建設を打診、(2)地域会社が断った場合(拒否権の行使)、他の地域会社と協議、(3)それでも地域会社が断った場合、「社会資本整備審議会」(しかも国交省の御用機関)が、地域会社の拒否理由が正当かどうか審査---と進む。

審議会が「理由は正当と認められない」と判断すれば、新会社は建設に着手しなくてはならないし、正当な理由と認められても、新直轄方式という税金で建設費をまかなう仕組みがバックアップとして用意されている。

国交省は今回の合意案作成にあたり、実質的な建設凍結(完全中止ではない)となる「抜本的見直し区間」を設けたが、それも北海道縦貫自動車道、近畿自動車道など3路線5区間で、総延長はたったの143kmに過ぎない。結局、約2000kmは道路族の要望どおり、建設が進むことになりそうだ。

1/4■民営化形態は?
2/4■新たな道路の建設は?
3/4■で、通行料は?
4/4■結局は、得意の“先送り”

《編集部》

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