トラック中型免許制度制定にはトラック業界の野望が隠されている。その野望とはずばり“最高速度”だ。
大型トラックには今年9月からスピードリミッターの装着が義務づけられ、今後3年かけてすべての大型トラックの最高速度が90km/hに抑え込まれる。ところで、高速道路の法定速度は大型乗用車(バス)と普通自動車が100km/h、大型貨物車は80km/hだ。このため、GVW8トン未満のトラックは時速100kmで走ることができる。
しかし、中型免許で運転できるトラックの最高速度を80km/hにするか、100km/hにするかは、まだ決まっていないのだ。リミッター装着を義務づけた国交省も、「90km/hというリミッターの設定速度は、法定速度の80km/hに追い越しや登坂などの余裕性能を持たせて決めた。我々には法定速度を決める権限はない。法定速度が変われば、見直しの可能性はある」と話す。
もし、中型免許で運転できるトラックの法定速度が100km/hに据え置かれれば、トラック業界にとって非常にありがたい話なのだ。もっとも、建前的には「トラックの事故抑止」から検討が始まったことになっている新制度だけに、警察庁もトラック業界の要望をそのまま受け入れるかどうかは微妙だ。
一般ドライバーとしても、今まで以上に大きくなった“中型トラック”が高速道路を140km/hで爆走する、という事態だけは勘弁してもらいたいが…。