女子中学生ひき逃げで宇都宮地検が控訴

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今年3月、飲酒運転を行った38歳の男が帰宅中の女子中学生2人をはねて死亡させ、そのまま逃走した事件について宇都宮地検は6日、一審の宇都宮地裁判決を不服として東京高裁に控訴したことを明らかにした。

危険運転致死罪への訴因変更を求める9万人以上の署名が集まっているが、容疑は業務上過失致死罪のままとなっている。

この事故は今年3月17日に発生している。被告となった38歳の男はゴルフコンペに参加後、数時間に渡って仲間とともに飲酒を行ない、自分が酒気帯び状態であることを認識しながらも直前まで感じていた眠気が薄らいだことから運転を強行。

しかし、直後に居眠り運転状態となり、同日の午後7時ごろ、益子町塙の町道を歩いていた帰宅途中の女子中学生2人に突っ込んで死亡させた。警察では男を危険運転致死容疑で逮捕したが、検察側は事故直前に男が約2kmの間、クルマを正常に運転していたと判断。危険運転罪を業務上過失致死罪に切り替えて起訴していた。

遺族は裁判中に危険運転罪への訴因変更を強く要請。全国から同様の措置を願う9万人分の署名も集められたが、一審は訴因変更無く進行。検察は懲役7年6カ月を求刑したが、宇都宮地裁は被告が自首してきたことを斟酌し、懲役5年6カ月の実刑判決を言い渡している。遺族側は「飲酒運転で2人を死亡させて5年6カ月では納得できない」として、宇都宮地検に対して控訴するように要請していた。

宇都宮地検は検討を重ねてきたが、「飲酒運転を起因とする交通事故に対し、これを厳しく対処して欲しいと願う国民感情や時代の要請があり、検察としても一審の量刑は不当と考える」として、6日に東京高裁へ控訴したことを明らかにした。ただし、この段階でも業務上過失致死罪のままとなっている。

これについて宇都宮地検の長谷川高章次席検事は「現段階では被告が事故前に蛇行運転など、“正常とは言えない状態で運転を継続させていた”ことを示す客観的な目撃情報はなく、それを立証することが難しい。危険運転罪の構成にはこの部分が欠かせないので、控訴した際にも罪状の変更は行っていない」と説明し、理解を求めた。

《石田真一》

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