交通反則金の地方財源化で困るのは一般ドライバー? それとも警察官僚?

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警察庁は29日、現在は国庫に収められる交通反則金を、都道府県に直接納付する制度に改めるという問題を政府が検討していることに絡み、一般のドライバーに急きょ実施したアンケートの結果を公表した。

このアンケートでは一般ドライバーのおよそ8割が制度に反対するという意思を示しているが、そこには莫大な財源を手放したくないとする警察官僚の考えが見え隠れする。

交通反則金(いわゆる青キップによるもの)は、現在その全てが国庫に収められ、そこから「交通安全特別交付金」として各都道府県警察に分配される方式を取っている。この交付金は道路標識の設置や信号機の保守費用などに充てられることになっている。

しかし、政府ではこれを都道府県に直接納付される方式に改め、地方財源化しようと検討している。これが実施された場合、東京や大阪のように違反者が多い地域では収入が増え、違反の少ない地域では今よりも収入が減ることは確実だ。このため、特に地方の警察本部からの反発が強く、中には「信号機の保守費用さえ賄えなくなるかもしれない」と窮状を訴えるところも出てきた。

警察庁では違反者の多い東京と大阪、違反者の少ない岩手、鳥取、長崎。その中間と考えられる岐阜と和歌山(いずれも大都市圏に隣接)の7都府県で「一般ドライバーが交通反則金の地方財源化をどう考えているか」を調査するアンケートを今月20日と21日の両日に急きょ実施している。

免許の更新に訪れた2016人を対象に行い、その中の1955人から有効回答を得ている。交通反則金の地方財源化については、全体の8割近くが「財源確保のために取り締まりのノルマ化が強化される」と回答。「都道府県の収入が増えるので良い」と答えたのは2割に留まった。こ

の結果から警察庁は「地方財源化が実施された場合、警察が収入確保のために取り締まりを行なっていると誤認される恐れがある」として、取り締まりに対するイメージの悪化を懸念している。

が、その裏には「これまでどおり、均等にカネをよこせよ」という本音が見え隠れしているのも事実だ。一般ドライバーが地方財源化の意味をどこまで把握しているかも不透明で、アンケート前に地方財源化のデメリットばかりを説明されていたからこその結果ではないかと疑いたくもなる。 

《石田真一》

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