アメリカではIIHS(保険会社が作る自動車安全のための協会)による新しいサイドクラッシュテストの結果が来月に発表される。これについて各自動車メーカーは非常に神経質になっている。
というのも、このテストはサイドクラッシュの障害物の位置を現在NHTSAが設定しているものより30センチほど上げ、SUVを想定した内容になっているためだ。乗用車にとっては「SUVに横から当たられた場合」、SUVにとっては「他のSUVと衝突した場合」を想定しており、特に小型SUVのテスト結果に大きな影響を及ぼす、と考えられている。
IIHSではすでに昨年11月からジープ『ラングラー』、ホンダ『CR-V』、トヨタ『RAV4』、サターン『VUE』についてテストを実施しており、公表はされていないがほとんどのクルマの結果は「不満足」だった、と言われている。というのも、すべてのモデルにサイドエアバッグがついているわけではなく、またついているものでも31.5マイル/h以下の衝突でさえサイドエアバッグが作動しなかったケースが報告されているためだ。
この新しいテスト結果が公表されると、ほとんどのモデルはNHTSAのクラッシュテストには合格していても、新しいIIHSのテストには不合格、となる恐れもある。もちろん小型だけではなく大型SUVも同様だ。
また新しいテストは位置が30センチ高くなることから、頭部に対する負傷へのより信頼性のあるリソースとなることも期待されている。アメリカでサイドクラッシュによる死亡者は毎年1万人程度だが、その半数以上が頭部へのダメージによる死亡だと言われている。
今回のテスト結果が、自動車メーカーに「より信頼性のおけるサイドエアバッグへの取り組みへのプレッシャーとなる」とIIHSでは語っているが、自動車メーカーはテスト結果次第では大量リコールにもつながりかねない、と警戒を強めている。