都内で16日開かれた政府主催の「企業改革タウンミーティング」で、出席した奥田碩トヨタ自動車会長、カルロス・ゴーン日産自動車会長、御手洗冨士夫キヤノン社長に、参加者から終身雇用に対する見解が求められた。企業改革を成功させた3氏だが、トヨタとキヤノンが雇用を維持してきたのに対し、日産は大幅な人員削減などで業績を回復させたからだ。
まず奥田会長は、「終身雇用は、日本がたまたま(バブル崩壊まで)成長を続けたから残った」と指摘。そのうえで「実際には終身雇用というより『長期雇用』と考えている。社員に長く居てもらうことは、会社をよく理解してもらえるので会社にも利点は大きい」と、持論の長期雇用を基本にする考えを示した。
これに対し、ゴーン社長は「(COOに就任した)1999年には雇用維持できないと判断した。90年代を通じて日産の改革が失敗に終わったことを認めなければならなかった」と、人員削減は過去の負の遺産を解消する方策であったとの見解を示した。また、終身雇用は「企業が自問自答しなければならないテーマだが、固執すればするほど困難な状況になることもある」とも語り、日本の伝統的な雇用スタイルには否定的な考えを示した。