「育てるクルマ」として発表されたWiLL『サイファ』。“コミュニケーション”がテーマのクルマとして開発は始まったが、それをどうデザインに落とし込むのかは気になるところ。担当デザイナーによると、アニメに出てくるような、ディスプレイ一体型ヘルメットがテーマだそうだ。
「コミュニケーションというものはカタチの無いものなので、デザイン開発段階では確かにいろいろな解釈の仕方がありましたね」と、デザインを担当したトヨタ自動車・VVC(ヴァーチャル・ベンチャー・カンパニー)の井熊政巳デザイナー。途中段階ではセダンも考えられたというから、相当紆余曲折したのだろう。
「情報端末のイメージとクルマの融合として、ディスプレイ一体型のフルフェイスヘルメットをモチーフにしています。同時に、未来のネット社会をイメージして、カプセルとしての意味もこめています。最近は癒しというのがキーワードになることも多いので、未来感と愛着という相反するテーマを同時に表現するのに大変苦労しました」と井熊デザイナーは語る。
さらに井熊デザイナーは、「フロントフェンダーに沿って、従来にない縦型のヘッドライトを配し、未来感を演出しています」と語る。ところでこのヘッドライト、かなり下の方に設置されているが、もちろん法規上問題は無いそうだ。
またトヨタ自動車・VVCの楠田久プロダクトマネージャーによると、「特に意識したつもりではないのですが、サイファのCd値(空気抵抗係数)は0.29と、このクラスでは驚くべき数字です。ボディ下に何も調整を加えていないのにこの数字ですから…」と少々本人も驚いている様子だ。