神戸市交通局は10日、酒気帯び運転した市バス運転手の前方不注意が原因で死亡事故が発生したことを受け、9月末を目標に市バスと市営地下鉄の全営業所を対象にアルコール検知器を導入する方針を明らかにした。市営の交通機関を持つ政令指定都市としては、神奈川県横浜市に続いて2例目。
導入のきっかけとなったのは、先月28日に発生した酒気帯び状態の運転手による前方注意が原因の事故。後方から走ってくるクルマに気を取られ、バスの直前を横断していた80歳の女性に気づくのが遅れたというもので、この女性は頭を強く打ったことなどが原因で死亡している。
この事故の際、運転手からは呼気1リットル中0.2ミリグラムのアルコールが検出されており、警察は道路交通法違反(酒気帯び運転)で逮捕、後に懲戒免職処分となった。運転手の酒酔い状態を点呼で見抜けなかった営業所は国土交通省・近畿運輸局の特別監査を受け、その甘さを指摘され、それが今回の検知機導入へとつながった。
検知器は300万円の特別予算を設定して導入されることになっており、バスの運転手だけでなく、地下鉄の乗務員も対象となる。道交法での酒気帯び認定量となる呼気1リットル中0.15ミリグラムのアルコールが検知された場合には乗務を中止させ、他の職員に原則交替とかる処置を取る。また、点呼も複数の管理職が行うというクロスチェック体制を新たに確立し、事故の再発防止を狙う。
ただし、高価な検知器を「導入した」というだけではもちろん意味が無いわけで、これを神戸市交通局がどのように扱っていくかで信用回復までの道筋が決まることになる。