ホンダ『インターナビ・プレミアムクラブ』対応のカーナビゲーションで、VICSによるリアルタイムの交通情報や、ニュースや天気予報のコンテンツをダウンロードする場合、ユーザーが普段使っている携帯電話をコネクタで接続し、これを通信デバイスとして利用する。この点は通信モジュールを本体機能として内蔵し、通信料を含んだ定額料金でコンテンツを提供するトヨタの『G-BOOK』とは大きく異なる。
その理由として、インターナビ推進室の山田清実室長は「より現実的なシチュエーションを想定したため」と語る。ナビを活用するユーザーの多くはいわゆる“サンデードライバー”であり、月に数回ペースでクルマを利用するに過ぎない。ナビをフル使って見知らぬ土地を目指すというシチュエーションはさらに低いとホンダは想定しているらしい。
そうしたユーザーが情報を「買ってでも得よう」とする回数は少なく、1ドライブ中で数回の渋滞情報を引き出す程度と考えた場合、G-BOOKで設定するとみられる1000円程度の使用料でも高くなってしまうという。インターナビで情報を引き出す場合、1回当たりのパケット料は高くても数十円。ならば自身の携帯電話を使い、月々の通話料に組み込んだ方がいいのでは…という考えだ。
接続できる携帯電話もキャリアに依存しない。現状ではNTTドコモの『FOMA』の一部機種で使用できないものがあるものの、基本的にはどの会社のものでもほぼ対応できるという。また、PCMCIA規格のカードスロットを備えており、FOMAカードの384k通信も可能だし、変換ホルダーを介すことでPDA用のCFカード方式の通信カードの利用も可能となっている。
現在、無線LANカードは使うことができないが、システムバージョンアップで可能になるかもしれない。
山田室長のお勧めは、定額方式で128k接続ができるPHSのカードを使うということ。仕事などでPHSカードを使っている人なら、それをドライブの際に転用すれば料金を意識せずに済む。携帯電話で定額制のパケット通信を契約している人も同様となる。
トヨタはユーザーに通信料金を意識させないために月々の利用料金に組み込んだが、ホンダは「有益な情報を必要なときに数十円で買えばいい」と判断する。この思想の違いがそれぞれの会社の姿勢を示しているともいえるだろう。