いまや日本における輸入車販売台数で、第4位の地位を占めるまでに成長した『プジョー』。コンパクトカー『206』を安価で提供する独力もあり、ヒットしたことが大きい。
そんなプジョーのフラッグシップが『607』。ご覧のとおりコンパクトカーではなく高級サルーンである。
そのキャラクターは実に明快。高級車でありながら、コンパクトカーに通ずる軽快さが全面にある。大きなボディからは想像できないほど軽やかな身のこなし。
例えばドイツのライバルたちは、重厚でどっしりした感じを与えるものが多いが、それらとは明らかに一線を画す走りの世界がある。
どちらがいい悪いの話ではなく、キャラクターが違うのだ。プジョーは、そのしなやかなサスペンションの動きをして「ネコ脚をもつクルマ」と形容されるが、この607も見事なまでにネコ脚だった。
エンジンは3リットルV6。プジョーのエンジンというと実用一点張りなイメージがあるが、このエンジンはスポーティなサウンドとともに滑らかに回る。ただ、組み合わせられるATが4速なのは少し残念。このクラスではいまや5速が標準だからだ。
グレードはスポーツ/コンフォートの2種類が用意されるが、違いは内装色や装備、装着タイヤなどくらい。もっとも、スポーツでも十分に高いコンフォート性能を備えているので心配はない。
メルセデスやBMWといった定番とは違う選択を望む人には、間違いなくオススメの1台である。
《河口まなぶ》