フォードのもとで経営再建を進めるマツダが21世紀の新型車第1弾としてリリースするのが、ミドルクラスの『アテンザ』だ。そのコンセプトは「ベターでなくベストであること」。最高で「超一流」、最低でも「一流」になることをめざして開発された。
マツダはアテンザを世界戦略車として、日米欧の世界3大マーケットで売り出す。ゴー&ストップの多い日本、フリーウェイを100km/hプラスアルファで巡航することの多いアメリカ、超高速領域を常用するヨーロッパと、特性が極端に異なる3つの市場で通用するモデルを仕立てるためには、ひとつの性能を際立たせるために他の部分を犠牲にするという開発手法は使えない。大半のメーカーはそれぞれのマーケット向けに、独自のモデルを投入している。
マツダはひとつのモデルの性能を徹底的に磨くことにより、世界のどこでも通用する「グローバルなパフォーマンス」を持つクルマ作りをするという道を選んだ。アメリカでも通用する乗り心地、日本で通用するフレキシビリティ、ヨーロッパで通用する操縦安定性を実現すべく、アテンザにはまったく新しいシャーシ、エンジン、パッケージングが与えられた。
地域別モデルを投入する余力のないマツダにとってはやむをえない選択だったが、ユーザーにとっては低価格で質のいいモデルを購入できるという点で、充分にメリットを享受できる。