ここまで韓国の交通機関をいろいろと紹介してきたが、中には「レンタカーを使えばいいんじゃないの?」と思う方もいるだろう。もちろん韓国にもレンタカーは存在する。ソウル・仁川(インチョン)空港には専用カウンターもある。しかし、道路事情など、様々な要因を考慮した場合、日本人が韓国でのレンタカーを使うことはお勧めできない。
その最大の理由は「交通環境が日本とあまりにもかけ離れていること」だ。道路が右側通行であることはもちろんだが、世界有数と言われている韓国人の運転の荒さが問題なのだ。日本の感覚で走っていると必ずと言っていいほど事故に巻き込まれることになる。それもソウル市内に到達する以前、空港自動車道を走っている段階でそうなる可能性が高い。
韓国車にはウインカーもハザードランプもちゃんと装備されているが、一度走り出してしまえば、それらを使うドライバーを非常に少ない。車間を広く取ることも好きではないし、遅いクルマがあれば側方からそれを追い越す。赤信号に変わるとフルブレーキング、青信号が灯れば急発進していく。それでも重大な事故がたまにしか起きないのは、ドライバーがそういった運転に慣れているからだ。全員が同じことをしていれば良いのだが、そのリズムが乱れたときに事故を起こす。
また、標識がハングル文字であることも外国人の運転の障害になる。記者は韓国での駐在経験が2年ほどあるが、ハングルで書かれた地名を短時間で読み取れるようになるまで丸一年かかった。さらに日本とは違う交通ルールも覚えなくてはならず、非常に苦労した。対向車線をまたぐ左折(日本で言うところの右折)は「非保護」扱いで専用の信号機など無く、対向側の通行が途切れた瞬間にダッシュする。自分のクルマの側面に、猛スピードで走るバスが向かってくる様子は“恐怖感”として残っており、今でもたまに夢で見てはうなされる。
基本的には日本の国際免許証とクレジットカードを提示すればクルマを借りることはできるが、無事に帰国したければ短期間の旅行中には手を出さない方が良い。