KS 新型のA4は、見た目の質感が高いのが印象的でしたね。とくにエクステリア。斜め後ろから見たときの、カンナで削ったようなショルダーラインやキャラクターラインの出し方とか、チリの合わせかたや段差のツライチ感は、現在のトヨタ並のレベルだと思いました。カローラと比べても遜色ない。
F デザインのテイストが無機質でかっちりとして冷たすぎるくらいのイメージだから、高品質感を引き立てている。
KS 一般的なひとが考えるドイツらしいデザイン。
S でも、この値段のガイシャを買いたがる人が往々にして求める、わかりやすい「押し出し」とか「威張り」は少ない。
KS というか、乗っていても自己顕示欲を満足させないクルマでしょう。
F そういう人はメルセデスを買うでしょ。
KS だからアウディって日本人には買いにくいんでしょうね。
F ただデザインをよく見ると、表面のスタイリング以外はそれほど新しくはないと思ったな。プロポーションもパッケージも斬新というわけではない。ボディ表面の切りかきを幾何学的にするといったことで「新しさ」を演出しているんだ。
KS ただ、前方寄りのドライビングポジションは特徴的でした。座っみると座面が高いから、じつは背の高いクルマだということがわかる。ただその車高の高さを感じさせないスタイリングはうまい。
F 俺はA6の、クールかつのびやかな感じが好きだっただけに、A4は窮屈で個性が薄く感じるな。
KS 乗ってみての印象は、外観のイメージと共通していて無機質な感じですね。エンジンは電気モーターみたいにスムーズで、精密な感じがします。乗り味にも新しさがありました。なんというか、いかにもボディが軽そうな気がしました。
F 乗り心地がすごくいい。そのせいでボディが軽い感じがするんだろうね。日常域の使い方ではすごくいいクルマ。
S 下世話なところがなく、すべてが理詰め。精密なエンジンにCVT、パッケージも新しい。仕上げもいい。ドライバーズカーとしては新世代って感じだな。
F しかし値段が445万円でしょ。アウディがプレミアム・ブランドというイメージを確立したいのはわかるけど、ちょっと高い。同じA4でも2リッターなら362万円。俺はそっちでいいと思うな。クワトロがほしいというなら別だけど。
座談会メンバー
S:陶山拓(まとめ)
KS:佐藤耕一(auto-ASCII)
F:藤田耕治(auto-ASCII)
取材協力:JAIA輸入車試乗会