リコール、クレーム隠ぺい疑惑で大ピンチに立たされている三菱自動車。販売台数にもじわじわと影響が出てきており、業績の悪化はもはや避けることができない状況だ。じっさい、三菱系ディーラーの大半は週末のイベントのときでさえガラガラ。
ディーラー経営者の嘆き節が聞こえてきそうである。ところが現実には、ディーラーはこの状況を嘆くどころか、思わぬ“特需”の発生に喜びの声を上げているのだ。あらためてリコール対象とされたクルマはディーラーに持ち込まれて無償修理を行う。もちろんユーザーはビタ1円支払う必要はなく、その費用は全額三菱側が負担する。そこでディーラーに思わぬ利益をもたらしたのが、部品交換などにともなう作業料だ。
「工賃はけっこう馬鹿にならないんですよ。それもブレーキなどの油圧系統の整備は意外に時間がかかるもので、工賃もかさむ。これが何十台も入庫してくるんですから、儲けも大きいですよ」(ある三菱ディーラーのコメント)
最近は経営が苦しくなっている三菱ディーラーも増えていたが、このリコール特需で一息ついているディーラーが多いという。さらに三菱はユーザーの信用回復のために、全車を対象に無料点検を実施することを決めているが、これもディーラーの黒字化に貢献しそうだ。