【アウディ A6アバント 新型試乗】今の時代に貴重な、エレガントかつフォーマルユースにも応えるワゴンだ

アウディ A6アバント TFSIクワトロ 200kW(4WD/7AT)
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アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW(4WD/7AT)【試乗記】

今も昔もアウディの中核を担うアッパーモデル「A6」。その最新世代の「アバント」に試乗した。堂々とした優雅なボディーに最新のハイブリッドシステムを搭載したステーションワゴンは、いかなる走りを見せてくれるのか。その実力をリポートする。

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朝令暮改のネーミングルール

アウディの上級モデルとして1968年に初代が登場した「100」を前身として、1994年の誕生以来、このブランドの中核をなすモデルとして知られてきた歴代のA6。最新の6代目は2025年の発表でブランド内でのポジションは……と分かりやすく解説していきたいのだが、これが一筋縄ではいかない。その前年の2024年に、同じA6を名乗りつつ骨格やデザインがまったく異なる電気自動車(BEV)が、同じ2ボディー構成で誕生しているからだ。

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これだけでも分かりにくいのに、さらにややこしさを倍加させているのが、やはり2つのボディーで構成される新しい「A5」が1年と違わないタイミングでローンチされ、なおかつボディー骨格などの構造的には、このA5のほうが“BEVではないA6”と強い血縁関係を持っているという事実だ。

かくも難解極まりない事態に陥っているのは、2010年に定められたネーミングルール、すなわち「既存の偶数名称の基幹モデルとは一線を画す、既成概念にとらわれない新しいキャラクターのモデルに奇数名称を付与する」という決まりごとが、2023年に突如変更されたため。シンプルに「BEVは偶数でエンジン車は奇数」となったのだが、これも2025年には改定されてしまった。2021年発表の「2033年を期限に内燃エンジンの生産は段階的に廃止する」という(前のめりに過ぎた!)計画の撤回を受けての、再度のネーミングルール変更だった。

かくして今日では、改定前のルールなら「A7」と呼称されるはずだったモデルが“BEVではないA6”となり、最新のルールでは先祖がえりして「A4」となるはずだったモデルが(名称の変更が間に合わなかったのか?)、A5と名乗っているのだ。

ということで、ここに取り上げるのは日本では2026年6月に発売された“BEVではないA6”の、アウディがかねて「アバント」と呼称するステーションワゴンである。

2025年4月に世界初公開された、現行型「アウディA6」。ラインナップの中核をなすアッパーミドルモデルで、従来どおりセダンと「アバント」(ステーションワゴン)がラインナップされる。

優雅な佇まいに込められた意図

日本で最新のA6に用意されるパワーユニットは、2リッター直4ターボのディーゼルおよびガソリンエンジンで、いずれもマイルドハイブリッド機構付き。トランスミッションはともに7段DCTが組み合わされ、また日本仕様では全モデルが4WDシャシーを備えている。今回は272PSの最高出力と400N・mの最大トルクを発生する、ガソリンモデルを選択した。

それにしても、ひと昔前のA6を知る身にとって感慨深いのが、すでに周知のこととなっている既存のフラッグシップモデル「A8」のディスコンも関係してか、なんとも立派になった実車の佇(たたず)まいだ。セダンボディーと同じ全長は、従来型まではなんとか4m台で踏みとどまっていたものの、この新型ではついに5mの大台に達し、専用のエクステリアディテールからなる「S lineパッケージ」をオプション装着したテスト車の場合は5005mmという値である。

前述のようにまったく異なる設計とはなるものの、BEVである「A6アバントe-tron」と対比すると、全長が70mm長い一方で全高は65mmのマイナスとなっているのは、やはり駆動用バッテリーの搭載から解放された影響と言えそう。ちなみに「A5アバント」との比較では、全長が165mmのプラスで全高はほとんど変わらず、全幅はプラス15mmとなっている。

一方、後席使用時のラゲッジスペース容量ではデータ上は466リッター(VDA値)と、より全長の短いA6アバントe-tronの502リッターに逆転されてしまっているのが興味深い。実際、A6アバントをサイドから眺めると、Dピラーとリアウィンドウが強く前傾し、長いルーフラインは後方に向かって落ち込んだワゴンでありながら流麗なシルエットの持ち主である。サイドのウィンドウグラフィックもクーペ的なそのデザインは、「ラゲッジスペースのフロア面は広い一方で、高さ方向のボリュームはさほどでもない」という結果をもたらしている。要は、従来型の“積めるワゴン”からより“魅(み)せるワゴン”へと変節したパッケージングなのだ。スペック上で迫りくるA5アバントに対する兄貴分としての矜持を、こうした部分に込めたのかもしれない。

Dピラーが大きく寝かされたスタイリングが特徴の「A6アバント」。ラゲッジスペースは狭くなったが、のびやかで優雅な意匠と、Cd値0.25という優れた空力特性を得た。

操作インターフェイスにみる○と×

ところで、アウディが特にライト類にこだわるブランドであるのは今に始まったことではなく、テスト車に装着されていたオプションの「デジタルマトリックスLEDヘッドライト」も「マイクロLEDを使用して高精度な配光制御を行い、デイタイムランニングライトは8つの点灯パターンから選択が可能」という多機能ぶりをうたう。同様にオプション装着されていた396セグメントのOLEDを駆使する「デジタルOLEDリアライト」も、8つの点灯パターンから切り替えが可能など、凝ったギミックが特徴。ハザードランプ点滅時には、警告シンボルを表示するなど、目新しい機能も与えられている。

テスト車には総額350万円をオーバーする多彩なオプションが加えられていたこともあり、かように“光もの”が華やかなエクステリアに負けじとばかりにインテリアもゴージャスだ。フロントドアを開くとまず目を引くのが、(助手席側のものは別体のデザインだが)水平基調のダッシュボード全面に配された大型のディスプレイ。正直、実用性に関しては疑問符を付けざるを得ないパッセンジャー側のディスプレイを含めて、映し出された画面内でさまざまな機能を操作できるというのは、“プレミアム”を意識した昨今のモデルのお約束だ。一方で、センターコンソール上に残されたオーディオのメインスイッチや、ハザードランプのボタン、ドライブモード切り替えスイッチ、センターディスプレイ下端に常時アイコンが表示される空調の操作系など、移動中、頻繁に使われそうな機能のスイッチまでを表示の深い階層にしまい込まなかったのは、過去の反省を踏まえての良心というべきだろうか。

かと思えば、ダッシュボード中を探しても見つからなかったヘッドライトのスイッチが、なんとドライバー側ドアトリムに置かれているのを発見してビックリ。なるほど、今やライトやワイパーは「オートモード入れっぱなし」で使うべしという時代なのかもしれない。しかし、例えば昼間の山岳路走行中に深い霧に突入……といったシーンでは、即座にマニュアル操作でランプを点灯したいもの。それがこのレイアウトでは、前方から大きく視線を落としての危険な操作を強いられることになる。こうしたあたり、どうも「走りながらつくり込んでいないな……」という開発のプロセスが垣間見えてしまい、ちょっと残念に感じられてしまった。

「デジタルマトリクスLEDヘッドライト」と「デジタルOLEDリアライト」は、オプションパッケージ「テクノロジーパッケージプロ」に含まれている。センターディスプレイで点灯のパターンを切り替えが可能だ。

パワーユニットもシャシーも秀逸

2tの大台を超える車両重量でありながら、いざスタートを切ると、予想以上の静かさで軽々と速度を増していく。これがA6アバントの走りの第一印象だった。

ロードノイズが望外に低かったのは、テスト車がトレッドの内側にポリウレタン発泡材を貼り付けるなどして、特に静粛性の高さにこだわったコンチネンタルの「エココンタクト6 Q」というタイヤを履いていたことも功を奏していそう。加えてエンジンのノイズも、回転を高めていってもはるか遠くでささやいているようにしか耳に届かない。その静かさに感嘆しつつも、「なるほどこの防音・遮音性能の下では、仮に6気筒や8気筒といった心臓を搭載したとしても、フィーリング面での有難みはもはやひと昔前のようには味わえないだろうな」と納得せざるを得ない印象も受けた。

また、軽々とした加速は「ターボ付きとはいえ、有効なブーストが立ち上がる前の段階では、2リッターの排気量でこの重量を押し出すのは楽ではないだろう」という先入観を覆すものだったが、そこで威力を発揮したのは、アウディが「MHEVプラス」と紹介する最新の電動アシストシステムだろう。“強化型マイルドハイブリッド”ともいうべきこのメカニズムの要は、新たにトランスミッションの出力軸に加えられた「PTG(パワートレインジェネレーター)」と呼ばれる駆動用モーターだ。最大で24PS(18kW)/230N・mの出力とトルクでエンジンに加勢し、なおかつ完全なEV走行も可能となったこのシステムのポテンシャルが、冒頭の好印象に効いていることは間違いなさそう。以前に試乗したディーゼルモデルの走りを思い起こしても、動力性能の印象は本当に甲乙つけがたく、乗れば乗るほどに迷いは深くなってしまいそうだ。

加えて、オプションのエアサスペンションを装着した試乗車のフットワークは、路面によってはわずかにばね下が重い印象が伝えられることを除くと、常に乗り味が上質。走りのシーンを問わずにボディーコントロールもしっかりと効いており、まさに「フラッグシップにもふさわしい」というフレーズが似合いそうな高い完成度が感じられた。ステアリング操作が忙しくなるタイトなワインディングロードでは、今回も“丸くないステアリングホイール”に個人的な違和感を覚えたものの、エレガントでありフォーマルユースにも応えるステーションワゴンは、今の時代に貴重な存在だと言えるだろう。

(文=河村康彦/写真=向後一宏/編集=堀田剛資/車両協力=アウディ ジャパン)

シャシーについては、従来モデルより操舵機構からタイヤまでの剛性を全体的に向上。走りに関する機能・装備も充実しており、オプションでエアサスペンションや後輪操舵機構も用意される。

テスト車のデータ

アウディA6アバントTFSIクワトロ200kW

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5005×1875×1465mm
ホイールベース:2925mm
車重:2050kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:7段AT
最高出力:272PS(200kW)/5000-6500rpm
最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/1600-4500rpm
タイヤ:(前)255/40R20 101Y XL/(後)255/40R20 101Y XL(コンチネンタル・エココンタクト6 Q)
燃費:14.8km/リッター(WLTCモード)
価格:927万円/テスト車=1284万円
オプション装備:ボディーカラー<アスカリブルーM>(15万円)/S lineパッケージブラック<S lineエクステリア+スポーツサスペンション+スポーツシート フロント+レザー/アーティフィシャルレザー+デコラティブパネル マットブラッシュトアルミニウム リニアエンボス アンスラサイト+ステンレスペダルカバー+ドアシルトリム アルミニウム Sロゴ+ステアリングホイール 3スポーク レザー マルチファンクション パドルシフト フラットトップ&ボトム+ヘッドライニング ブラック+アコースティックガラス>(51万円)/テクノロジーパッケージプロ<電動チルト/テレスコピックステアリングコラム+ステアリングヒーター+シートヒーター[フロント/リア]+デジタルマトリックスLEDヘッドライト+デジタルOLEDリアライト+3Dサラウンドビューカメラ+パークアシストプロ+リアオキュパントディテクション+エマージェンシーブレーキアシスト フロント/リア>(67万円)/MMI experience proパッケージ<MMI experience pro+ヘッドアップディスプレイ+USBクイックチャージング[フロント60W/リア100W]+アンビエントライティングプロ/ダイナミックインタラクションライト+Bang&Olufsen 3Dプレミアムサウンドシステム[16スピーカー]+フロントヘッドレストスピーカー>(50万円)/アルミホイール 10スポークツイストデザイン グラファイトグレー ポリッシュト 8.5J×20、255/40R20タイヤ(21万円)/Sスポーツシートパッケージ ブラック<Sスポーツシート[パーフォレイテッドレザー/ファインナッパレザー]+ラップアラウンドインテリアエレメンツ ダイナミカ+シートベンチレーション マッサージ機能[フロント]>(74万円)/スマートパノラマガラスルーフ(44万円)/アダプティブエアサスペンション/アウディドライブセレクトアシスタント(35万円)

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:3009km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(6)/山岳路(1)
テスト距離:361.2km
使用燃料:28.9リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:12.5km/リッター(満タン法)/12.7km/リッター(車載燃費計計測値)

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《webCG》

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