【ボルボ EX30クロスカントリー 新型試乗】標準モデルよりおすすめ!? 600万円切りの後輪駆動モデル、その走りはボルボEX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリック(RWD)【試乗記】
ボルボの電動コンパクトSUV「EX30クロスカントリー」に、後輪駆動の特別仕様車「ウルトラP5ロングレンジ エレクトリック」が設定された。530kmの一充電走行距離と、600万円を切る599万円の車両本体価格を実現した新エントリーモデルの走りを報告する。
気がつけばBEVの主力モデルに
ボルボのラインナップで最もコンパクトなモデルが、SUVスタイルの電気自動車(BEV)「EX30」だ。都市部でも扱いやすいボディーサイズに、スカンジナビアンデザインやサステナブルな素材、先進の安全技術などを凝縮している。
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日本でも2024年に販売がスタートし、その後、ラインナップが拡大。ボルボ・カー・ジャパンによれば、EX30を含む同社のBEVは2026年1月~8月の輸入車BEV市場でテスラに次ぐ販売実績を挙げているという。いまやボルボの販売台数の約4台に1台をBEVが占めており、EX30はその主力でもあるのだ。
そんなEX30のなかで、SUVらしさを前面に押し出した、個性強めのバリエーションがEX30クロスカントリー。ボルボ伝統の「クロスカントリー」の最新モデルとして追加されたこのモデルは、グリルのないデザインを受け継ぎながらフロントマスクやテールゲートをマットブラック仕上げとし、さらに最低地上高を20mm高めるなど、クロスカントリーの名にふさわしい雰囲気をつくりあげている。
クロスカントリーだけに、駆動方式はAWDで、前150PS、後ろ272PSを発生する計2基のモーターによりこれを実現している。このEX30クロスカントリーに追加されたのが、後輪駆動(RWD)仕様のEX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリックである。ヨーロッパでも2027年モデルとして追加されたばかりのニューカマーだ。

プラス20万円で手に入るクロスカントリー
それにしても、EX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリックとはずいぶん長い名前だ。
実は2027年モデルから名前が変更され、シングルモーターのRWD仕様が「P5」、ツインモーターのAWD仕様が「P8 AWD」と呼ばれるようになった。これに伴い、従来の「EX30クロスカントリー ウルトラ ツインモーター」も「EX30クロスカントリー ウルトラP8 AWDエレクトリック」に名称を変更している。
今回のP5とP8 AWDは、パワートレインこそ異なるものの、外観上の違いはほとんどない。RWDだからといってクロスカントリーらしさが薄められているわけではなく、違いはテールゲートの「EX30 P5 LONG RANGE」のバッジくらいなものだ。
すっきりとしたマスクが特徴のEX30に対して、ブラックで彩られたフロントマスクは好みが分かれるところだろう。個人的には、このクロスカントリーの姿が気に入っているが、ひとつ気になるのがその全高。標準のEX30が1550mmなのに対して、クロスカントリーは1565mm。わずか15mmとはいえ、全高1550mmを上限とする機械式駐車場が使えなくなる可能性がある。都市部でEX30を選ぶ人にとっては無視できない部分である。

シングルモーターでも十分すぎる速さ
インテリアには「パイン」と呼ばれる仕様が採用される。再生素材を使った淡いグリーンのファブリックシートに加え、トップレイヤーにリネンを用いたフラックスパネルが組み合わされる。どこか温かみのある空間もボルボらしいところだ。
ドライバー正面にメーターパネルを置かず、各種情報や操作系を12.3インチの縦型センターディスプレイに集約する基本構成は従来どおり。フロントウィンドウの下にサウンドバーを配置するのもEX30ならではだ。
一方ユーザーインターフェイスには改良が加えられており、車両設定画面が整理されたほか、画面上のショートカットをカスタマイズできるようになった。頻繁に使う機能を選んで表示しておけるのは、センターディスプレイへの依存度が高いEX30だけに歓迎したい変更である。
前置きはこのくらいにして、さっそく走りだす。最高出力272PS、最大トルク343N・mを発生するモーターは、車両重量1790kgのクルマを動かすには十分すぎる性能だ。アクセルペダルに対するレスポンスは素早く、軽く踏み込むだけで必要な加速が得られる。高速道路への合流でもアクセルペダルを床まで踏み込むような場面はまずない。「これで十分」どころか、「これでも十分すぎる」というレベルで、日常的に使うぶんには、もう少しパワーを抑えてもいいのではないかと思ったほどだ。

標準モデルよりおすすめかも!?
そして、見た目とともに、このクルマをより魅力的にしているのが、乗り心地だ。
EX30クロスカントリーには専用サスペンションが与えられており、標準のEX30よりも路面からの入力を穏やかに受け止めるセッティングになっている。最低地上高も20mm高められ、路面への追従性にも配慮したという。実際に走らせても、標準モデルとの違いはわかりやすい。路面の継ぎ目や荒れた舗装を通過した際の突き上げが丸められ、乗り味は明らかにマイルドだ。
それでいて、コーナリング時のロールや高速走行時のピッチングはよく抑えられており、ボルボらしい穏やかな乗り心地と、コンパクトカーらしい軽快感がうまく両立されている。個人的には、標準のEX30よりも、この乗り味が好みである。一方、AWDモデルと比べると加速時の安定感はAWDのほうが上だが、あくまで比較の話で、RWDでも不安を覚えることはない。
価格は、EX30ウルトラP5ロングレンジ エレクトリックの579万円に対して、EX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリックが20万円高の599万円。AWDモデルのEX30クロスカントリー ウルトラP8 AWDエレクトリックは649万円。EX30ウルトラP5 ロングレンジ エレクトリックを基準に考えると、これまではクロスカントリーは70万円のエクストラを払わないと手に入らなかったのが、今回のRWDの設定によりプラス20万円で選べるようになったわけだ。
降雪地域や悪路を走る機会が多いのであれば、AWDモデルを選ぶ理由はもちろんある。しかし、そうでなければRWDモデルでも性能は十分。それでいて、クロスカントリーらしいデザインやボルボらしい穏やかな乗り味が楽しめるというのだから、このRWDのEX30クロスカントリーは実に魅力的だ。個人的にもこのEX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリックは、最もバランスのとれた一台だと思う。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)

テスト車のデータ
ボルボEX30クロスカントリー ウルトラP5ロングレンジ エレクトリック
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4235×1850×1565mm
ホイールベース:2650mm
車重:1790kg
駆動方式:RWD
モーター:永久磁石同期電動機
最高出力:272PS(200kW)/6500-8000rpm
最大トルク:343N・m(35.0kgf・m)/5345rpm
タイヤ:(前)235/50R19 103V XL/(後)235/50R19 103V XL(グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンスSUV)
一充電走行距離:530km(WLTCモード)
交流電力量消費率:150Wh/km(WLTCモード)
価格:599万円/テスト車=617万5900円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー<スタンダード>(18万5900円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:993km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh





