車載用音響システムの性能を上げていこうとするときのセオリーやコツを解説しながら、カーオーディオという趣味の世界の面白さや奥深さを明らかにしようと試みている当連載。現在は「メインユニット編」をお贈りしている。今回は「 市販メインユニット」の変遷を振り返る。
◆時代とともにメディアが移ろい、「 市販メインユニット」の形が変化…
今回からは市販メインユニットのトレンドを見ていこうと思うのだが、まず当回では過去から現在までの全体的な変遷を説明していく。
ところでモータリゼーションが進化していくその黎明期からいつも、クルマの中にはエンタメを提供する機器が搭載されてきた。
もっとも古くはラジオだけだったが、その後「8トラ」と呼ばれる音楽再生メディアが登場してマイカーでも使われるようになり、そして「カセットデッキ」が誕生して「カーステレオ」がブームとなる。
その後にはCDが世に出てクルマの中では「 CDレシーバー」が使われるようになり、一時は「MD」も再生できるものも登場し、しかしそれは比較的にすぐに消え、結局CDレシーバーが長きにわたり主流であり続けた。ただしその移り変わりと平行して「 AV一体型ナビ」が次第に支持率を高めていき、2000年代の中頃から終盤にかけてこれが市販メインユニットのスタンダードとなっていく。
「市販メインユニット」が活用されたオーディオカーの一例(製作ショップ:Kサウンド<広島県>)。2010年代に入ると新基軸「 メインユニット」が登場! それは…
しかし2010年代に入ると様相が徐々に変化する。「 ディスプレイオーディオ」が登場したからだ。なおこれは、AV一体型ナビからナビメカを取り除いたものなのだが、今では地デジチューナーも取り除かれている場合がほとんどだ。
というのもディスプレイオーディオはAV一体型ナビと比べてリーズナブルであることもアイデンティティとしていて、当初は地デジチューナーが組み込まれたモデルもあったが、価格がこなれていることの方が優先され、次第に地デジチューナーも省かれるようになっていく。
ところで、ナビメカを持たずしかしモニターを備える「 メインユニット」は実は、2000年代にも存在していた。それはAVヘッドユニットだ。これは、5.1chフォーマットに対応した映像コンテンツを楽しむためのものだった。
「市販メインユニット」が活用されたオーディオカーの一例(製作ショップ:Kサウンド<広島県>)。
◆「 カーシアター」がブームとなり、5.1chシステムを組むクルマが増加。しかし…
というのも当時は「 カーシアター」がブームとなっていて、それを楽しもうとするときには「 AVヘッドユニット」がシステムの核に据えられ、5.1ch分のスピーカーが投入された。
しかしカーシアターは手間とコストがかかりがちだった。例えばセンタースピーカーを設置するのにダッシュボードが改造されることも多かった。かくしてブームは数年で終焉を迎えAVヘッドユニットも姿を消した。ディスプレイオーディオは、その後にそれとはまったく異なるコンセプトにて登場した。AV一体型ナビを選ばなくてもモニターをリーズナブルに導入できる機器として誕生したのだ。
で、ディスプレイオーディオは、当初はAV一体型ナビを諦めてその代わりにやむなく選ばれるもの、という側面もあったわけだが、今ではこれが積極的に選ばれるようになっている。
そうなってきた背景には、「Apple CarPlay」と「AndroidAuto」の出現がある。これらに対応していればスマホナビアプリを車内で便利に使えるようになるのでAV一体型ナビを選ばなくても良い、そう考えるドライバーが増えてきたのだ。
今回はここまでとさせていただく。次回はディスプレイオーディオの音響機器としての実力を分析する。お楽しみに。





