「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」のJTEKT(ジェイテクト)ブースでは、レクサス『RZ』に採用されたステアバイワイヤシステム技術が紹介されていた。それと“ちょっと変わった”駆動ユニットの参考展示も目を引いた。
◆信頼性とドライブフィールを両立させた「シンカステア」
ステアバイワイヤの技術自体は新しいものではないが、上位モデルやプレミアムモデルから徐徐に普及モデルにも採用が進んでいる。とくにADAS+、SDV、自動運転といった分野において、ステアリングやブレーキなど、エンジン・モーター、およびシャシー制御を電動化、バイワイヤ制御にする必然性が高まっている。
ジェイテクトがこだわるのはもちろんシステムの信頼性だが、ドライバーのフィーリングについてもこだわっている。どちらも安全に深く関わるからだ。

同社のステアバイワイヤシステムは「Syncusteer(シンカステア)」という名前が付けられている。“同期”を意味する“Synchronous”と“進化したステアリング”という意味が込められた。まず、信頼性については、ステアリング部と転舵ユニットをつなぐ制御信号ラインは完全二重化されている。2つの系統は常にアクティブ状態で、片側が故障等で失われても、切替時間なしで機能することができる。2系統のうち1系統が喪失したハーフ状態でもシステムは正常に動作する。
また、キャパシタを使ったバックアップ電源も備える。万が一、電気系のトラブルで電源が失われても、緊急停止動作・操作が可能になっている。機械的リンクがないステアバイワイヤにおいては、電源喪失はすべての制御が失われることになる。バックアップ電源は、緊急停止・回避運動のための時間をかせいでくれる。

◆ハンドルの応力にこだわったバイワイヤ技術
レクサス RZのステアリングは飛行機の操縦桿のようになっており円形ではない。機械式のステアリング機構だと、実用的なタイヤの切れ角を確保するにはハンドルを2回転前後させる必要がある。ハンドルの持ち替えが発生するため、操縦桿式のハンドルでは通常の右左折でも不便だ。
ステアバイワイヤなら、ハンドルの持ち替えなしの範囲で、タイヤの切れ角を任意に設定することが可能。車速、車庫入れなどのシチュエーションごとに切れ角を変えることもできる。

ただし、このとき重要なのはハンドルへの応力フィードバックだ。タイヤの切れ角、路面の状況、速度に応じたハンドルの重さがないと、ドライバーは適切な操作をしにくい。これが当たり前になれば、キーボードでレーシングゲームを操作するように、ドライバーも慣れてくるかもしれないが、路面状況やタイヤから物理リンクを経たハンドルへの応力(フィードバック)は重要だ。たとえば、縁石にあたってタイヤが切れない状態で、ハンドルの重さや動かない状態が再現されないと、転舵機構や車にダメージを与えてしまう。
シンカステアは、多彩な運転状況、走行シチュエーションに応じた制御に対応しているという。
◆モビリティの可能性を広げる駆動モジュール

このほか、開発中のコンセプトとして展示されたのは、単体で走る・曲がる・止まると昇降機能を可能にする「一輪の駆動モジュール」だ。外観は自動車のストラットタイプの車軸と車輪のように見える。ドライブシャフトや駆動モーターは見当たらないが、インホイールモーターになっているので、スタンドアローンで走行が可能だ。








