旭化成は12月2日、連結子会社のPolypore International傘下で運営する鉛蓄電池用セパレータ「ダラミック」事業を、米国のKingswood Capital Managementに譲渡すると発表した。
同社は事業ポートフォリオ変革を進めており、今後は成長分野にリソースをさらに集中させる方針だ。今回の事業譲渡は、利益成長を牽引する電子材料等のエレクトロニクス事業の強化や、カナダにおける製膜・塗工一貫工場の建設を通じた北米でのリチウムイオン電池用セパレータ事業の拡大など、将来を見据えた取り組みをさらに加速させていく上で重要な一歩となる。
旭化成は2015年8月のPolypore買収により、鉛蓄電池用セパレータ「ダラミック」とリチウムイオン電池用乾式セパレータ「Celgard」を取得した。ダラミックは車載用途や産業用途を中心に使用され、安定的な収益貢献が期待できる事業として、コストダウンをはじめとするグローバルでの製造拠点の強化等を進めてきた。
しかし、セパレータ事業の中長期的な戦略を踏まえ、ベストオーナーの観点も含めて慎重に検討を重ねた結果、このたびの譲渡が最良であるとの結論に至った。なお、本事業譲渡による2026年3月期の連結業績予想に修正はない。
同社は「中期経営計画2027 Trailblaze Together」のもと、資本効率の改善と投資成果創出による利益成長を目指している。この方針に基づき、ベストオーナー視点での改革や他社連携も含めた事業構造転換と経営資源の再配分を進めている。さらに、成長分野と位置づけた事業へのさらなる投資を通じて、企業価値の向上を図っている。



