小野測器は11月4日、2020年に取得した愛知県豊田市緑ヶ丘の事業用地にて、中部地域の新事業所「中部リンケージコモンズ(CLC)」の建設を開始すると発表した。
CLCは2025年12月に着工し、2027年9月に稼働予定である。
CLCには小野測器が東京大学大学院新領域創成科学研究科と進める「電気自動車の振動計測制御に関する社会連携講座」で得られた世界トップレベルの高度な制御技術を搭載した自動車用試験設備が導入される。これにより次世代モビリティ技術の発展に貢献していく。
新拠点では地域の教育機関や異業種企業・団体との連携を模索し、共創パートナーとの共同開発も視野に入れ活動を展開する。中部エリアの地の利を活かし、日本が世界をリードする自動車産業との連携を深める狙いだ。
小野測器の中期経営計画「Challenge Stage」では、デジタル開発への対応を成長戦略の柱としている。CLCは同社の強みであるデジタル計測とエンジニアリング力を最大限に発揮できる拠点になる見込みだ。建設費は総額23億円を見込んでいる。
2020年に約4500平方mの土地を取得した同社は、新型コロナ禍や急速に進むデジタル開発の変化を踏まえ計画を修正。2024年5月には旧本社の資産売却による資金をCLCの成長投資に充てると発表した。
CLCではモデルベース開発対応の試験や自動車メーカー、サプライヤーからの騒音・振動評価(NV評価)を実施。東京大学との講座で得た知見を活かし、世界トップレベルの制御技術を導入した試験装置を用いる。完成後は横浜テクニカルセンター、宇都宮テクニカル&プロダクトセンターに続く3拠点目となる。
同社は国内自動車産業が集積する中部地方で顧客と密に連携し、共同開発を強化したい考えだ。2027年の稼働後は志を同じくする共創パートナーを募集し、産学連携や異業種企業との共同開発を推進する。敷地内には共創専用スペースも設けられる。
また、本事業は2025年3月に豊田市の企業立地奨励事業者に指定された。同社は1954年創業で電子計測機器の製造販売およびエンジニアリングサービスを提供。自動車分野では二輪・四輪車や部品の研究開発、製造工程の測定技術を支えている。
近年は人とテクノロジーの調和とサステナブルな社会実現を掲げ、若手エンジニア育成や地域社会との連携にも注力している。今回のCLC設立によって、次世代モビリティをはじめとした技術開発を加速し、新たな価値創造に寄与することを目指す。




