豪雨時のアンダーパス通行は危険 水圧・電装故障・車両浮上で脱出困難に

アンダーパスに進入しない
  • アンダーパスに進入しない
  • 水圧でドアが開かない
  • ハンマーでガラスをわる

豪雨で冠水したアンダーパスや地下道は、危険度が高い。国土交通省など関連当局は、アンダーパス部に自動車で進入すると、一見通行できそうでもエンジン停止で動けなくなるおそれがあるとして、安全な道路へ迂回するよう注意している。


◆まとめ

冠水したアンダーパスは、水圧でドアが開かない・電装不全で窓が開かない・吸気浸水でエンジン停止・車両が浮いて流されるという複合リスクが同時に発生する。「進入しない」が唯一の安全策であり、万一立ち往生したら窓からの即時脱出→高所退避が基本である。アンダーパスにはそもそも進入しない。行政が公表している冠水注意箇所マップを活用しよう。

◆何が起きるか

●水圧でドアが開かない

車内外の水位差がある限り、ドアは大きな水圧を受けて開けにくくなる。おおむねドアの半分くらい(およそ水深50cm)まで水没すると、ドアを開けるのが非常に困難になる。JAF(日本自動車連盟)のユーザーテストでは、水深60cm条件でスライドドアが開けられない事例が示され、車内に浸水して内外の水位差が小さくなるまでドアを開けることは困難だ。

●電気系統の浸水で窓が作動しない

浸水で電装が機能不全となる可能性があり、窓ガラスが開かなくなる。この場合は脱出用ハンマーなどで側面ガラスを破って脱出する。フィルムを挟んだ合わせガラスは割れない場合あるので、ハンマーで割れるガラスをあらかじめ確認しておくこと。水が窓の高さに達すると、水が勢いよく車内に入ってくることがあるので注意。

ハンマーでガラスをわるハンマーでガラスをわる

●エンジン吸気の浸水・停止

冠水路では、エンジン吸気から水を吸い込みエンジンが停止する。JAFの冠水路走行テストでは、水深60cmで、セダンは10km/hでも走破困難、速度が上がると短距離で停止した。

●路面喪失・流されるリスク

米国気象局は、水深約30cmの流れで多くの乗用車が流され、約60cmの流水でSUVやピックアップも流され得ると警告する。水面下で道路の陥没もあり得るため、進入しない。

水圧でドアが開かない水圧でドアが開かない

◆どれくらいの水深が危険か

米気象庁やJAFは、冠水した道路を自動車で走行した場合、水深ごとの危険性を警告している。

約15cm:多くの乗用車の床下に達し、制御喪失やエンストの恐れ。
約30cm:多くの車が浮き始め、流水で流される可能性。進入禁止。
約60cm:SUVやトラックでも流され得る水位。
ドア開放の難易度:水位差がある限り開かない。水深50cm条件で扉が開けられない事例がある。

◆立ち往生した場合の行動

ただちに停止し、落ち着いて脱出準備。シートベルト解除、電源が生きている間に窓を開ける。窓が作動しない場合は、脱出用ハンマーで側面ガラスを破って脱出する(合わせガラスは割れない場合あり)。水が勢いよく入る可能性があるため姿勢を保ち、速やかに車外へ。水位が急上昇する場合には、車を放棄して高い場所へ移動する。

《高木啓》

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