Eキューブドゴールズは、早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科小野田弘士研究室と連携し、三元系リチウムイオン電池の無力化および安全かつ完全な廃棄を実現する画期的な技術を確立したと発表した。
電気自動車やスマートフォンなどに広く使われている三元系リチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を持つ一方で、使用済みのものを安全に廃棄・処理することができず、世界的な課題となっている。特に、内部に残存するエネルギーによる「爆発リスク」は、リサイクルや廃棄処理における大きな障壁だった。
同社は2024年初頭より研究を開始し、三元系リチウムイオン電池の特性に着目して「冷却による無力化」というアプローチで実験を重ねてきた。その結果、2024年6月には最適な温度パラメーターを構築し、三元系リチウムイオン電池の安全な無力化を実現した。
無力化された電池は、通常であれば爆発の危険がある「釘差し破壊」を行っても爆発することなく、安全に粉砕・溶解が可能であることを実証している。この成果を、早稲田大学小野田弘士研究室との共同実証実験にて再現性を確認し、本技術の確立に至った。

本技術では、使用済み電池を一定温度まで冷却した後にプレス破壊し、最終的に炉での溶解または粉砕処理を行う。これにより、爆発のリスクを排除し、低コストかつ安全な廃棄処理を実現する。
三元系リチウムイオン電池は、ノートPC、スマートフォン、電気自動車(EV)などに不可欠なエネルギー源だが、世界中で年間数百万トン規模の廃棄電池が適切に処理されず、放置・埋め立てられているのが現状である。これは、三元系電池が極めて危険な特性を持ち、廃棄処理中に3000度以上の高温を伴う爆発のリスクがあるためだ。
現在、これに耐えうる処理炉(通常800度が限界)や産業廃棄施設は、世界中に存在しない。近年、三元系リチウムイオン電池に使用するレアメタル・レアアースのリサイクル技術のトライアルは広がりつつあるが、実際にリサイクルおよびアップサイクルされた三元系リチウムイオン電池がいまだ市場でみられることはない。
同社は、本技術について日本及び世界特許を出願済みであり、将来的にはオープンソース化を視野に入れ、各国・地域の行政・産業・研究機関との連携を通じて、グローバルな社会実装を推進していく方針だ。