マツダは6月19日、「国内ビジネス成長に向けた事業構造変革」と題したオンライン説明会を開催。国内販売をてこ入れして、年間15万1000台まで落ち込んだ販売台数を早期に20万台へ回復させるとした。
「直近での関税などさまざまな情勢を考慮すると、国内ビジネスの再成長が急務で、加速する必要があると判断した」と国内営業本部の三浦忠本部長は述べた。
グローバルの販売マーケティング畑を歩いてきた同本部長は、今年4月に本部長に就任し、さまざまな変革に着手。「私なりの構造改革に対する思い、将来に対しての計画が定義できた」ということで今回の説明会に踏み切ったようだ。
マツダの収益を支えていた米国市場は、トランプ関税によって変調し始めてきた。なにしろこの5月の米国販売は、前年同期比で19%も落ち込んでしまったのだ。米国で販売するクルマの8割近くを日本から持って行っているマツダにとっては、高関税が重荷になって業績が大きく悪化する可能性がある。また、値上げをすれば、販売が減って、日本での生産に影響してしまう。
一方、国内市場はというと、マツダは一時の勢いを失い、販売が停滞している。2015年に23万台を超えていた販売台数も25年には15万台、シェアも6.1%から3.3%まで落ちてしまった。

販売台数の減少は当然、生産の減少に結びつき、その結果、取引先の部品メーカーが苦境に陥り、サプライチェーンが危機にひんしてしまう。それを防ぐためにも、国内販売をてこ入れする必要があったわけだ。
ちなみにマツダの国内生産は、1990年代は140万台を超えていたが、現在は74万台にまで落ち込んでいる。しかも70万台がサプライチェーン維持のための最低ラインと言われており、生産70万台割れは取引部品メーカーの赤字が続出する可能性が出てくる。
「国内販売の再成長は、当社の中長期的な企業価値向上に直結する重要なテーマ」と三浦本部長は話し、国内ビジネスの構造変革のために3つの柱と4つの重点施策を掲げた。その3つの柱とは、ブランド育成に向けた成長投資、優先地域の特定、店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底。そして4つの重点施策とは、販売網再構築、マツダブランドにフォーカスしたマーケティング投資の実行、店舗へのブランド価値浸透の体制整備、バックヤード機能効率化を担う新会社設立、である。